2017年07月07日 1484号

【沖縄辺野古新基地・高江工事再開阻止 72年前の沖縄戦戦没者に誓う 二度と戦場にさせない】

慰霊の日に不退転の決意

 6月23日は慰霊の日。72年前の沖縄戦で牛島32軍司令官が自殺し、組織的戦闘が終了した日だ。沖縄県はこの日を慰霊の日と条例で制定し、学校や官公庁などは休日。沖縄戦での24万人超の犠牲者の冥福を祈り、平和を希求する1日になっている。

 梅雨が明け真夏の日差しの中、沖縄全戦没者追悼式が糸満市摩文仁(まぶに)の平和祈念公園で開かれた。県内外の遺族ら4900人が参列した。翁長(おなが)知事は、直近の不当なパラシュート降下訓練、昨年4月の元海兵隊員による暴行殺害事件、同12月の名護市安部へのオスプレイ墜落など、戦後72年経っても基地あるがゆえの事件事故に苦しみ続ける県民の想いを述べる。そして「辺野古に新たな基地を造らせないために今後も県民と一体となって不退転の決意で取り組む」と言い切ると、異例の大きな拍手。知事らは次に発言する安倍首相に厳しいまなざしを突きつける。ヤジに迎えられた首相は「負担軽減で一つ一つ確実に結果を出す」と言うが、全く空虚に響く。

 県議会6月定例会で知事は、沖縄防衛局が岩礁破砕許可を受けずに進める工事差し止めへ国提訴の議決を求める議案と弁護士費用517万円を含む補正予算案を提出。7月14日の最終本会議で可決後、那覇地裁に訴訟を起こす。併せて判決までの工事停止を求める仮処分も申し立てる。

山城議長国連で声明

 6月15日、スイス・ジュネーブの国連人権理事会で、沖縄平和運動センター山城議長が抗議者の人権尊重を訴えた。その声明全文を紹介する。

 ―私は、沖縄における米軍基地による人権侵害に対し、平和的な抗議運動を行っている山城博治です。日米両政府は沖縄の人々の強い反対にもかかわらず、新たな軍事基地を沖縄に建設しようとしています。市民は、沖縄の軍事化に反対して毎日抗議活動を行っています。日本政府はその市民を弾圧し、暴力的に排除するために大規模な警察力を沖縄に派遣しました。

 私は、抗議活動の最中、微罪で逮捕され、その後、2回にさかのぼって逮捕されました。勾留は5か月間にも及びました。面談は弁護士以外との接見を一切禁じられ、家族とも会うことを許されませんでした。私は自供と抗議運動からの離脱を迫られました。これらは当局による明らかな人権侵害です。

 しかし私も、沖縄県民もこのような弾圧に屈しません。

 私は、日本政府が人権侵害をやめ、新しい軍事基地建設に反対する沖縄の人々の民意を尊重することを求めます。―

 国連人権理事会では、沖縄からは2015年に翁長知事がスピーチしたが、現場の運動からの発信は初めて。終了後に各国のNGO関係者に握手を求められ、特別報告手続き担当者から「あなたは民主主義の擁護者だ」と言われたという。「勾留中は一人で耐えたが、多くの県民や国際社会とつながっていることを確認できた。今後も自信を持ち、正義を訴えていく。県民は恐れることはない。国際社会はどの地域であろうと平和で人権の守られる社会であるべきだと唱えている。国内でも多くの人が沖縄に注目し、孤立させない状況になってほしい」と意気込みを語った。(8面に関連記事)

高江予算6億が94億に

 米軍北部訓練場のヘリパッド建設を巡り、政府が当初予定していた工事予算(3工区・4着地帯)6億1千万円が、警備費増額などで計94億4千万円と、約15倍に膨れ上がっていることが分かった。ヘリパッドは12月「完成」とされたが、進入路など関連工事が残り、政府は8月末までの警備を発注。警備費は昨年9月15日から1年弱で63億円。1日当たり約1800万円にも上る。沖縄防衛局への情報公開や福島みずほ議員から得た資料を公表した平和市民連絡会の北上田毅さんは「6億円で済むはずだった工事を強引に進めた結果、膨大な費用がかかっている」と批判する。

 当初の契約額6億円は、その後、ヘリによる重機の空輸や警備、警備用仮設物の設置、工事用道路の整備などで変更を重ね、工事費だけでも31億4千万円に膨れ上がった。

 また、ヘリパッド建設への抗議運動に対応して16年9月15日以降は、工事費の名目に入れていた警備業務を切り離し、単体で発注した。17年8月末までの警備業務を、ともに東京の綜合警備保障に約31億5千万円、テイケイに31億6千万円で発注している。

 3月から6月はノグチゲラの営巣期間で工事は中断された。だが、今もゲート前には24時間体制で多くの警備員が配置されている。これは、市民の抗議活動を政府が規制する際の国連のガイドラインにも違反する。政府は巨額の公金を無駄にし、違法行為をくりかえしている。

 東村高江の座り込みが始まって10年。6月25日には東村で集会が行われ、来月にも始められようとしている工事の阻止を確認した。  (H)



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