2017年07月07日 1484号

【議会を変える 東京都日野市議 有賀精一 介護保険制度の現場から】

 5月下旬、知人の運営する、とある社会福祉法人を訪問しました。

 訪問の目的は、介護保険制度が現場でどのように運用され、どんな問題を抱えているのかを調査・勉強すること。

 知人から現場の話を伺い、正直ショックを受けたというのが偽らざる実感です。

 読者の皆さんもこの頃よく「2025年問題」という言葉を耳にするのではないでしょうか。8年後の私たちの社会は、団塊の世代が75歳を超え後期高齢者となり、3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上となります。

 知人の話から、このままの状態で進んでいけば超高齢社会になる前に介護サービスそのものが成り立たなくなってしまうのではと思いました。

 2000年に介護保険制度が始まった当初は、時間制限がなく、必要なサービスを受けられるというもの。それが今どうなってきたか。家族がいたらダメ、2世帯住宅はダメ、お掃除も週1回以上したらダメ、特別な病気(例えば喘息)があるとかでないとダメとサービスにどんどん縛りをかけてきているそうです。

 日野市では2016年4月から介護予防・日常生活支援総合事業が始まりましたが、いわゆる通所で利用する要支援1・2の利用者へのサービスが極端に劣化しているといいます。今まで朝から施設に来て昼食を食べ、お風呂も入れ、楽しく過ごすことができたのに、利用者を「予防」と「介護」で線引きし、「予防」になると、サービスは午前中で終わり、昼食やお風呂も利用できないとなってしまいます。

 けれど、知人のところでは、地域の利用者に杓子定規(しゃくしじょうぎ)にこの規定を適用することはなかなか難しいとのこと。結局、負担は事業者・ヘルパーが持つ形で対応しているケースが多々あるとのことです。

 日野市は地域包括支援センター(以下センター)が9か所ありますが、市の職員が直接現場に足を運び利用者や事業者の声を聴くのではなく、業務をセンターに丸投げしている傾向が強まっているようです。

 さらに追い打ちをかけるようにヘルパー不足は日野市でも深刻な状況だそうです。

 6月議会でこの訪問を踏まえて、一般質問をしました。録画映像を日野市のホームページからご覧ください。

 保険でなく本来の社会保障制度として高齢者介護を実現していくために、サービス切り捨て、予算削減に抗して、利用者・事業者・市民がスクラムを組み自治体も巻き込み、国に迫る運動がいま求められているのではないでしょうか。
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