2017年07月07日 1484号

【子ども・被災者支援法 制定から5年/避難解除・支援地域はずしと闘う】

 全政党・全国会議員が賛成した「原発事故子ども・被災者支援法」成立から5年。選択の自己決定、避難の権利をうたった理念法だが骨抜きにされている。6月20日、参院議員会館で実効性ある被害者救済に向けて≠ニ集会が開催された(主催はFoE Japan、原発事故被害者団体連絡会などが協力)。約200人が集い方向性を議論した。

 支援法作成に関わったサフラン(福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク)の福田健治代表は「支援法がなければできなかった施策もあるが、理念の現実化からは程遠い。法に支援対象となる被ばく線量数値1_シーベルト以上を盛り込めなかったことや避難者の常設機関設置ができなかったことは不十分。区域外避難者らのために(中通りなどを)支援対象地域から外させない取り組みを」と呼びかけた。

 3・11甲状腺がん子ども基金代表理事の崎山比早子さんはサポート事業から見た県民健康調査の問題を報告。「甲状腺がん多発は認めたが、いつまで経っても『放射能の影響とは考えにくい』を繰り返す。しかし、甲状腺学会の雑誌でがん対象者77人の調査から放射線被ばくを大きなファクターとしてあげざるを得ないところまで来ている」

 当事者の訴えは、郡山市から静岡に避難した長谷川克己さん。「政治家が信用できない中で、市民運動が私たちを救ってくれた。しかし支援法は塩漬け、たなざらし、骨抜きに。誰か任せでは明日はない。被害者からありがとうと感謝される法に生まれ変わるようがんばりたい」と話した。

 集会には、民進・共産・社民の衆参両院議員が出席した。会場からは、低線量被ばくの健康影響への「知見がない」とする政府見解に対し、「『知見はないかもしれないが検査・調査の継続は必要』では弱い。はっきりと『知見はある』ことを争点にすべき。でないと、避難指示解除・支援対象地域外しとも闘えない」との意見が出された。

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