2017年07月21日 1486号

【「月桃の花」歌舞団ミュージカル ガマ人間あらわる 福島・郡山公演に160人 「生きる意味がある」】

 7月1日、福島県郡山市で開催された「月桃の花」歌舞団ミュージカル『ガマ人間あらわる』。地元など160人の観客が大きな共感を寄せた。公演を担った実行委員、歌舞団員に報告してもらった。

「観てよかった」「忘れてはいけない」の声

 沖縄福島をつなぐ実行委員会ふくしま(OFC)の私がぜひ『ガマ人間あらわる』を県民に観てほしいとの想いで「月桃の花」歌舞団の方々と協力、公演できたことを嬉しく思っております。

 今まで、祭りしかり、交流会しかり、物事を実行するごとに運や目に見えない後押しを常に感じ、実現してまいりました。そして今回の郡山公演では、これまでのイベントではなかった郡山コミュニティ放送(通称COCOラジ)への出演も実現。、広報と座談会の2本に出演しました。

 OFCの郡山は7人で動いておりますが、みな獅子奮迅の活躍でした。高校の演劇部等から30人まとまって観に来ていただいたり、専門学校の若者たちがボランティアで手伝ってくれたり。またスタッフの知り合いの居酒屋等にチケットの取り扱い所になってもらいました。さらに歌舞団の室生さんたちの協力でOFC交流会参加者への呼びかけ、そして朝日新聞への告知記事掲載、団員によるストリートライブ等によって当日会場は160ほどの席を埋めることができました。

 会場前ホールでは、開演1時間半前より飛田(ひだ)晋秀写真展を開催。人の流れをつくって開場を迎えました。

 当日は朝から雨が降ったりやんだりのあいにくの天候でした。が、人は人を呼ぶように、心配していた来場者も列をつくるようになって150名を超し、アンケートも62名回収できました。さらに来場者が帰られるときに「観てよかった」と声をかけてもらい、その表情からも、総じて成功だったと実感しております。

 アンケートにおいても、「忘れかけていたことを思いおこし改めて忘れてはいけないと思った」等が寄せられ、若者交流も10人を超す参加で1時間近く意見交換していたようです。十分に充実した公演になったと報告いたします。

(OFC共同代表 塚原広)

生きていこうの意思 若者とつながった公演

 観客席の真ん中には、ジャージを着た高校生28名が並んで座っていた。高校演劇部にチラシと招待券を郵送し、実行委員の方が「原発事故後、福島から避難した方を実際に取材して書いたミュージカルです」と顧問の先生に宣伝。郡山市内の高校の演劇部員28名と顧問の先生2名が公演に来てくれた。

 観客はすごい集中度でステージを観て、最後の「ダイレクト」の歌では、手拍子が起きた。終演後の感想交流では、高校生が「気持ちが伝わってきました」と発言。

 アンケートにも、「いろいろな問題が加味されていて、普段『関係ない』と自分は見ないようにして、忘れていた問題を思いださせられた。非常に泣けました」「まるで自分に言っているかのようで感動しました」など25名の高校生が意見を書いてくれた。

 ロビーで行ったユース交流会には、テスト期間中で忙しい中、高校生5名が参加。歌舞団のキャストメンバーと交流した。その中で、「小学校4年生の頃、震災にあい、いじめがあったり、なんで福島県民なのかな、生きるのがつらいと思っていたけど、ステージを見て『死にたくない』と。生きる意味があると思っている」「群馬に避難していた時にいじめられたことを思い出して、つらい時もあったけど、素直君のお父さんが言った『子どもは泣いたら勝ち、大人は笑ったもんが勝ち』がいいなと思った」など自分がいじめられた経験も語っていた。

 公演を観て、忘れていたつらいことを思い出し、でも、それをなかったことにするのでなく、それを乗り越えて生きていこうという若者の意思を感じた。

 7月16日の「歌舞団かふぇ」にも高校生が参加することが決まっている。今回の公演では、福島市の高校生がエキストラで出演してくれた。次の福島の公演では、さらに多くの地元の若者といっしょにステージを作り上げ、不安や怒りも出せなくされている福島で声を上げ発信していきたい。

(「月桃の花」歌舞団 神子幸恵)

◆次回京都公演

10月14日(土)午後3時開演
右京ふれあい文化会館
問い合せ info@gkabudan.jp



ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS