2017年07月21日 1486号

【ZENKO背景画 月明りを食べるヤンバルクイナ/山内若菜さんとともに製作/弱いものの持つ力】

 2017ZENKO初日の会場、サンパール荒川大ホールの舞台を飾る背景画は、山内若菜さん作『月明りを食べるヤンバルクイナ』。7月9日に行われたワークショップで、若菜さんの原画をもとに長さ6メートルの布に描きあげた。

 『月明りを食べるヤンバルクイナ』にはどんな思いが込められているのか。若菜さんは語る。「踊りを踊ろう。みんなで体を動かそう。南アフリカのトイトイダンスの話を聞き、体を動かすことによって変えたい、それを表現したいと思った。ヤンバルクイナは飛べない。弱いものの象徴。でも、弱いものの持つ力は本当はすごい。月明りのような自然の力をエナジーにして、自然と対峙するのではなく自然となじむことで力を得る。自然から力をもらって、踊る、体を動かす」

 原画は6月に描いたもの。それをZENKO会場の舞台画に選んだのは、若菜さん自身だ。「弱いものの力を示すことで、希望を描き出したい。沖縄と福島をつなげたいと、福島の牧場の様子も背景に描き込んだ」と言う。

 ワークショップでは総勢6人が絵筆を振るった。布に描いていくため色が染み込まず、グラデーションがうまく作れない。そんな中でも、若菜さんは「このへんは青でふわーっとなじませて」「ここにもう1つ花があってもいいですね」と指示を出していく。約3時間かけて、月をくちばしにくわえたヤンバルクイナと、月桃の花をあしらった衣装を身にまとい踊る人物からなる舞台画が完成した。

 初めて製作に携わった一人は「みんなで描くことで、若菜さんの絵の鋭い感受性に改めて触れた。ヤンバルクイナはまるで生きているみたい、“俺たち生きものを殺すな”と叫んでいるみたいだ」と話している。



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