2017年07月21日 1486号

【みる…よむ…サナテレビ(446)/2017年7月8日配信 イラク平和テレビ局in Japan/学校で広がる感染症】

 イラクの首都バグダッドの学校では、おたふく風邪などの病気が流行している。ところが、政府はまともな治療や、病気の感染を防ぐ対策を何も行っていない。小学校の子どもたちの健康は全く守られていないようだ。2017年4月、サナテレビは医師や教員、生徒に直接取材してこの問題を明らかにした。

 番組の最初に登場するのは感染症の専門家モハメド・アリ・タキー医師だ。小学校でおたふく風邪などの感染症が広がっていることについて、タキーさんは「イラク戦争の後、7歳の生徒に与えるワクチンが不足していることが理由の一つだ」と言う。イラク政府・保健省が子どもの健康を守るという最低限の責任さえ果たしていないことが浮き彫りになる。

 タキーさんがもう一つ指摘する理由は、「学校の生徒の数が多すぎて環境が良くないから」ということである。前週のサナテレビ映像は、1教室に50人以上も詰め込んでいる学校の様子を報告している。こうした環境では感染症が広がるのは当然だろう。

原因は政府の無策

 この学校の教員は、おたふく風邪が広がって試験を受けられない生徒が出ている状況を訴える。「保健省に対して、治療チームを学校に送っておたふく風邪の治療をするように要求している」と語る。生徒たち自身も、これ以上病気が広がらないように保健省と病院に感染症に対する対策を取るように、と訴えている。

 サナテレビは当事者に直接取材する。感染症の広がりに苦しむ学校の実態を、医師や学校の教員、一番の当事者である子どもたちに丁寧に取材して、問題の深刻さを明らかにする。それとともに、教員だけでなく、子どもたちも自分たちの健康を守るためにいっしょに声を上げている姿を伝えている。

 子どもたちにおたふく風邪が流行する事態はバグダッドの大部分の学校に広がっている。こうした状況になっているのは、政府が伝染病対策をしていないからだ。サナテレビは、緊縮政策によって子どもたちの健康や命さえ守ろうとしないアバディ政権政府の実態を明らかにし、改善を要求する学校現場の人びとの姿を伝え、この政治を変えようと訴えている。

(イラク平和テレビ局 in Japan代表・森文洋)



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