2017年07月28日 1487号

【20%台に落ちた支持率/ミサイル脅威頼みの安倍は崩壊へ/マスコミに広告費投入も効果なし】

 内閣支持率が3割を切った。政権維持「危険水域」に入った。安倍は朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)ミサイル打ち上げを支持率の支えに利用してきた。失笑ものの「ミサイル対策CM」。マスコミ支配に多額の広告費を費やしても、今や全く効果なし。いよいよ安倍政権の崩壊が始まる。

逃げ回る安倍

 時事通信が7月7〜10日に行った世論調査で、内閣支持率は先月から15・2ポイント激減し、29・9%となった。政権維持の「危険水域」と言われる20%台に突入した。不支持率は14・7ポイント増加し、48・6%。

 これまで第2次安倍内閣の支持率は、戦争法強行時を除き、相次ぐ閣僚(小渕、甘利など5人)の辞任があっても下がらなかった。だが「総理のご意向」文書が報道された今年5月半ば以降、変化が見え始めた。7月初めの調査で軒並み30%台になり、今回第2次政権になって初めて3割を切った。



 安倍は、加計疑惑の国会閉会中審議を逃がれるように主要20か国・地域(G20)首脳会議後、デンマーク、フィンランド、スウェーデンに向かった。G20終了後の7月8日、すぐ帰国すれば10日の閉会中審議に出席は可能だった。だが、9日夜になって「北九州豪雨被害」を理由に最後の訪問国エストニアを直前キャンセルし、11日帰国した。

 ネットニュースサイト「リテラ」によれば、エストニア大使館は公式ツイッターで、安倍の振る舞いについての一般ユーザーの「最後のエストニアだけ削るという。北欧2国も削っちゃうと、閉会中審査出られない理由がなくなる」をリツイート。嫌悪感を表わした。閉会中予算委員会の開催を竹下亘自民党国対委員長が一旦拒否した後に、安倍が開催を指示したと「首相の意向」を強調しているが、「逃げ回る安倍」自身が支持率低下の最大の原因であることは疑いない。

頼みの朝鮮ミサイル

 安倍政権の支持率浮揚策はもはや残されてはいない。過去、数ポイントの上昇を稼いだ朝鮮のミサイル発射もいまやほとんど役には立たない。

 朝鮮が7月4日、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星14」の発射実験を行った。推定飛距離は8000`b。米ジョンズ・ホプキンズ大の分析では、2年以内に核弾頭を搭載して米西海岸サンディエゴの海軍基地を狙えるICBMになるという。

 核兵器を突きつけ合う危険な状況を生み出す許されない行為だが、日米韓も7月8日、B1爆撃機を中心としたミサイル発射台爆撃合同訓練を実施するなど、軍事挑発合戦を繰り返している。

 安倍は、G20を対朝鮮強硬措置の先頭に立つ「最高の場」とするつもりだった。ところが、米韓との首脳会談でも制裁一辺倒にはならず、中ロは制裁反対、「朝鮮の核も、米韓の軍事演習も凍結」と逆提案された。安倍は討議の場で「新たな段階の脅威となっており、国際社会の最優先事項」と発言するも、他の参加国は静観。相手にされなかった。当初のもくろみは失敗に終わった。

 国内でも「ミサイル恐怖」をあおる手法は、陳腐化している。都議選告示日にあわせ、全国の新聞70紙に「弾道ミサイル落下時の行動について」と題する政府広告を掲載した。Jアラートで情報を受けたら「できる限り頑丈な建物や地下に避難する」などというものだ。テレビは全国の民放43局で、7月6日までの2週間、同じ内容のCMが流された。都議選だけではなく、政権支持率につなげようとの狙いもあったに違いない。だが、効果はなかった。

 4日のICBMは発射後、25分経って「着水する可能性」との航行警報が出た。弾道の低い中距離ミサイルであれば着弾している。広告内容も、まったく無意味なものだ。4月、ミサイル着水後の情報で地下鉄が緊急停止し、大混乱を引き起こした。役立たない情報で危機を煽る広告は、「朝鮮恐怖」よりも合わせて3億6千万円の税金を投じた政府に対する疑いを生じさせている。

ただちに退陣だ

 政府広報予算は、いわばマスコミ対策費だ。民主党政権の12年度、約41億円だったものが、3年で倍増。17年度のマスコミ対策費は総計150億円にものぼる。「マスコミを懲らしめるには広告を止めればいい」とは2年前、自民党の勉強会「文化芸術懇話会」の初会合で出た発言だった。この会の主要人物が萩生田光一で、政府のメディア対策の中心人物でもある。時期外れに出した「弾道ミサイル広告」は「危機」を演出するとともに政権批判を抑える口封じ料としての効果も狙ったのかもしれない。

 大手メディアと「夜の会食」を繰り返し、批判封じに活用してきた安倍だが、市民の抗議の前にその効果が薄まってきた。最近の一連の世論調査が実態を反映し始めたのもその表れだ。安倍第1次政権の時は、複数の調査で支持率が3割を切る結果が出てから数か月後に政権を放り出した。第2次政権の崩壊を待つ必要はない。ただちに退陣だ。

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