2017年07月28日 1487号

【ZENKOに参加 イラク労働者共産党に聞く 中東、太平洋、米国を結ぶ 国際連帯をZENKOで】

 2017ZENKOin東京に参加するイラク労働者共産党サミール・アディルさんにイラクの現状と国際連帯について語ってもらった。


◆イラク・モスルではIS(「イスラム国」)が陥落と報じられていますが、何が起きているのですか。

 アバディ政権はISが打倒されたと言っている。現状では、モスルからのメディア情報は正確には伝わらない。米軍が操作した情報が流されている。今日のニュースでは、多くのISの戦闘員が投降し、銃を投げ出し、イラク軍がそれを回収したという。

 モスルでは、イラク軍とその仲間のシーア派私兵が市民の人権を侵害し、誘拐、殺害も行われている。市民は食料、水、住居もなく苦しんでいる。伝染病が人びとの中に広がっているのが実態だ。


◆イラク、中東に対する米トランプ政権の狙いは。

 トランプ政権の中には二つの見解がある。一つは、公式にはイラクとシリアでISと闘うというもの。もう一つは、外交問題として米国はロシアやその同盟国のイラン、シーア派のシリア、ヒズボラに負けているというものだ。ロシアやイランは、ISと闘うとの名目でシリアやイラクでの影響力拡大を狙っている。

 米国のある将軍は、ISとの闘いは終わっていない、もっと長期間続くとしている。ISを打倒した後、米軍はイラクとシリアに駐留を続けたい。資本家階級の要請で、ISとの闘いの名の下にそうした新たな計画を持っている。

 だが、現状ではトランプ政権の今後の見通しは不明確だ。

 ロシアはシリアとイラクに対してより大きな影響力を持っている。しかし、政治的シナリオは不明確である。

 ブッシュ政権時代の大中東圏構想は失敗に終わった。オバマは新しい状況に対応しようとしたが、米国はもはや1960年代から90年代の米国ではない。経済も弱体化している。たとえば、エジプトは今や米国の言うことを聞く状況ではない。イラクではイランの方が影響力が強い。そして北朝鮮に脅かされている。

 サウジアラビアはイランと争おうとしている。米国はサウジアラビアに対する武器輸出契約を結んだが、サウジがイランと争うことには賛成していない。カタールはロシア側につきたがり、湾岸諸国がカタールと断交している。湾岸諸国は米国の政策を信じていない。米国は以前より力を落としているのだ。

 一方、イスラム政治勢力のうち、ISはモスルやシリアで打倒されている。しかしイスラム政治勢力とは中東におけるブルジョア体制であり、これに対しては政教分離の政府を作り、人間を出自や宗教などで差別しない社会をつくっていかなければならない。

◆イラクの市民や労働者はどのように闘っていますか。

 イラクの民衆は今、大きな二つの問題に直面している。一つは政府の緊縮政策であり、もう一つは社会サービスの切り捨てである。政府は国民の生活を考えていない。その中で、イラク南部では社会サービスや電気が欠乏していることに対するデモ、工場・会社でのデモが闘われている。この闘いはイラク西部とは別に行われ、統一された闘いとはなっていない。社会サービスの問題をアバディ政権はまともに取り組んでいない。

 先週も、中部カルバラや南部のナシリア、バスラでデモが闘われたが、警察が1人を射殺し、多くの人を逮捕するなど弾圧を強めている。

◆どのような国際連帯が必要と考えますか。

 今、中東で国際的な戦争が起こり、米国とその同盟国、ロシアとその同盟国が介入している。一方では、太平洋地域で核戦争の危機が起きている。われわれは今、深く国際連帯を話し合わなければならない。ZENKOはそうした場の一つだ。

 私としては、MDSと、中東や全世界、米国とどのように闘いを結びつけていくかを話し合いたい。国際連帯は非常に弱くなっている。イラク占領時代にあったような国際連帯が弱くなっている。

 第一に中東のイラン、トルコ、シリア、エジプト、チュニジア、アルジェリアなどでどう国際連帯をつくるか。第二に、日本から韓国、フィリピン、米国でどう核戦争を阻止するかという連携を強化しなければならない。中東の闘いとこの闘いを結びたい。

 エジプトやシリア、アルジェリア、トルコ、イランの労働者を招いた国際的運動を進めたい。中東の闘いと太平洋、米国、ヨーロッパの運動を結びつけたいと考えている。

(7月14日、翻訳はイラク平和テレビ局in Japan)
ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS