2017年07月28日 1487号
【みる…よむ…サナテレビ(447)/2017年7月15日配信 イラク平和テレビ局in Japan/医薬品と医療機材を与えろ! マフムディヤ総合病院】
|
イラクの医療は、いま危機に瀕している。病院は予算が足らず、医薬品も医療機材にも事欠く状態だ。2017年4月、サナテレビはマフムディヤ総合病院を取材し、こうした病院現場の実態を明らかにした。
首都バグダッドにあるマフムディヤ総合病院。サナテレビは中に入って行き、病院スタッフから直接話を聞いていく。
病院には患者が多数押しかけている。それだけ地域住民から頼りにされているわけである。ところが、この病院の医師によると、「予算が不足しているし、必要なものは経営者から何も提供されていない状態だ」という。「診察室の医療品は完全に不足している」。事態は深刻だ。
次に登場するのは薬剤師だ。彼は「薬局はとても小さくて場所も適切ではない」と訴える。その上、病院の建物が老朽化し、「雨水が建物の中に入りこんでくる」と語る。これも大変な問題だ。雨漏りがする病院で、しっかりした治療ができるとは思えない。日本でこんな病院があれば社会的に大問題になり、雨漏りを放置することなどとても許されないだろう。
ある看護師も、「医療品や医療器具の不足に悩んでいる」と訴える。建物のあちこちにガタが来ているようで、「せっかく設置されている緊急治療室も、2、3人しか治療できない」と言う。イラクでは今もISなどによる爆弾攻撃、テロの被害者が増え続けている。この病院にも負傷者が運び込まれているが、こんな状態では命を守ることができないかも知れない。
もう一人の看護師は「酸素吸引機や照明装置など何度も使うために使用限度が来ている」と指摘する。医療スタッフの献身的な治療に支えられてはいるが、薬剤や医療器具の不足でもう限界にきているのだ。
元凶は緊縮政策
サナテレビは現場に駆けつけ、何人もの当事者から話を引き出して問題点を浮き彫りにする。マフムディア病院が最低限の医療サービス提供さえ難しくなってきているが、この病院だけの問題ではない。アバディ政権が緊縮政策で医療費を押さえ込んでいるからだ。
サナテレビは、病院の実態を明らかにすることで医療サービスの改善を政府に要求しようと市民に呼びかけている。
(イラク平和テレビ局 in Japan代表・森文洋)
|
|