2017年08月04日 1488号

【みる…よむ…サナテレビ(448)/2017年7月22日配信 イラク平和テレビ局in Japan/テロにノー!軍事介入にノー! スパイカー基地虐殺事件3周年】

 2017年6月、イラク市民は、バグダッドのタハリール広場で3年前のスパイカー基地虐殺事件に抗議する集会を開催し、政府に怒りの声を上げた。

 スパイカー基地はバグダッド北西部ティクリート近郊の駐屯地で、ISが2014年6月10日以後支配し、1700人以上の兵士を捕虜として連れ去って全員を殺害した凄惨な事件だ。

 しかも、イラク軍の将校がISと結託して起こした事件なのに、イラク政府は何の責任も取っていない。

 サナテレビは事件直後に、殺害された兵士の家族の怒りとイラク政府への抗議行動を取材。イラク平和テレビ局in Japanは14年10月11・18日、11月15日にその映像を配信している。

 今回の映像が伝える集会は、米・有志連合軍とイラク政府軍がISが支配するモスルを陥落させる目前という時期に行われた。

 イラク市民は、ISの残虐な支配だけに怒りを向けているのではない。ISの暴力が広がる原因を作り、治安悪化にまともに対処せず、市民の犠牲を生み出しているアバディ政権を糾弾しているのだ。

 スパイカー事件から3年がたっても、またも対市民爆弾攻撃がかけられた。ところがイラク政府は一貫して市民の命を守っていない。市民は「原因は政府自身が宗派や民族による分断を進め、汚職が広がっているからだ」と厳しく批判する。

 市民の批判はトランプ政権にも向けられる。「アメリカは強力な軍事力を持ち、子どもたちを殺し富を盗み取ってきた」「イラクの治安状態の荒廃と崩壊の原因なのです」とトランプ政権の本性を暴く。

イラク市民と連帯を

 集会参加者は「イラクで新たな腐敗がなくなるまで抗議を続ける。民営化を終わらせ、電気を提供させる」「テロと殺人と私兵の一掃を要求する」と口々に訴える。この声は、アメリカで、日本で、トランプや安倍の戦争と格差拡大の政策を許さない市民の闘いとしっかりつながっている。

 トランプ政権はIS一掃の名目で市民に対する無差別爆撃を続けている。アバディ政権も無差別攻撃を続けている。日本の安倍政権はこのイラク政府を財政支援し、石油利権を確保している。こうした構造を許さず、イラク市民と連帯し、テロと軍事介入に反対する声を広げたい。

(イラク平和テレビ局 in Japan代表・森文洋)



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