2017年08月18・25日 1490号

【韓国 希望連帯労組に聞く/最賃1万ウォン、非正規撤廃へ闘う/正規への転換で待遇改善も】

 2017ZENKOには、韓国から多くの労働者、活動家が参加し、交流を深めた。希望連帯労働組合のノ・ヨンスさん(ケーブル放送非正規職支部対外協力部長)に非正規労働者の現状と運動について聞いた。


希望連帯労組の非正規職労働者はどのような生活を送っているのですか。

 韓国の非正規労働者は労働人口比で約32・8%。男性は26・4%、女性は41%。年齢では、20代32%、30代21%、40代26%だ。

 希望連帯労組全体の平均賃金を出すのは容易ではなく、支部ごとで多様な業務構造がある。通常給でみると150万〜230万ウォン(約15万〜23万円)、その他に各種手当や時間外手当、賞与などを含めて賃金を受ける。労働時間は法で週40時間だが、週12時間の超過勤務が可能になっている。劣悪な賃金を満たすために追加作業や営業業務をしている。また、元請けとの1〜2年の請負契約で常に雇用不安に追い込まれた構造だ。

非正規労働者の雇用や待遇改善を勝ち取った事例があれば教えてください。

 ディルライブ支部の非正規労働者は2016年、120人が正規雇用に転換され、2017年には150人が正規雇用転換を約束された。だが費用の問題で、待遇は既存の正規労働者と同一ではない。

 ソウル市120コールセンター支部の非正規労働者は2017年5月、ソウル市の財団所属の正規雇用に移行された。労働時間短縮で賃金が削減される問題、勤続年数認定や業績評価の問題などで現在ソウル市と交渉中だ。

 SKブロードバンド支部の非正規労働者はSKブロードバンドの子会社に所属し、5千人余りが正規雇用に転換された。だが、賃金、待遇など、それまでの正規に比べると劣悪で、変えなければならない。

 LGU+(プラス)支部の非正規労働者は下請け正規雇用への転換を進めている。

 このように元請け正規、元請け子会社正規、下請け正規という3類型の正規への転換によって、雇用と待遇を少しずつ改善している。

韓国政府は先日、2018年度の最低賃金を16%引き上げると発表しました(日本は3%の増加)。文在寅(ムンジェイン)政権の労働政策をどのように見ていますか。

 新政権は所得主導成長論と雇用創出支援に焦点を置いている。非正規撤廃のために常時・持続業務への使用理由制限制度を導入するよう推進し、非正規職の使用へのハードルを強め、労働者を中心にした雇用を強化するとした。

 最低賃金の16%引き上げに伴う資本と中小零細自営業者の抵抗が開始されている。資本は、コストの問題で工場の海外移転を推進すると言い、中小零細自営業者は人材を削減するしかないなどと宣伝している。また、国内市場の低迷と二極化問題のため、労働政策の根本的な問題を解決するには限界があると見える。

 期待はしたいが、不平等と二極化問題の改善は新政権の試金石となる。

6月30日、韓国での非正規労働者ゼネストは日本ではほとんど見ない例ですが、何を掲げたストでしたか。

 6・30社会ゼネストは、民主労総史上初めて、非正規問題を非正規労働者が主導して行ったストライキだ。最低賃金1万ウォン(約1千円)、非正規撤廃、労組結成の権利は、今、非正規職労働者の共通要求だ。

 希望連帯労組は、間接雇用非正規職闘争の先頭を切って、◇元請け交渉権◇元請け代替人材投入禁止◇下請け交代時の雇用・勤続・団体協約継承などを要求して闘っている。職場と労働条件の改善と同時に、「本当の社長」である財閥大企業に対し、直接雇用・正規雇用化を要求している。

全交に参加した感想は。

 韓国では、社会的問題を解決するために民衆の共感を形成しながら大規模に集まって解決していく。しかし、様々な社会的な問題を集めて議論するのは、理念の違いなどで一堂に会することが難しい。

 全交は、多くの社会的な問題を大会を通じて大衆に知らせ、分野別会議でより具体的に共感を形成する。一方的な会議方式ではなく、途中で文化的公演もあり、非常に印象的だ。大会に招待いただき、敬意を表します。

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