2017年08月18・25日 1490号

【人間の尊厳と生存権保障のために 若者の貧困解決へ日韓連帯 最低賃金アップ、長時間労働・セクハラNO】

 国際連帯活動を重視するZENKOin東京。第6分科会「人間の尊厳と生存権保障のため」では、長時間労働規制、生存権を保障する最低賃金、非正規職の正規化・同一価値労働同一賃金の実現へ日本と韓国の労働者の連帯行動を強めることを確認した。

 韓国・青年ユニオン事務局長のソン・ヒョウォンさんが、韓国での最低賃金1万ウォン(約1千円)への引き上げ運動の取り組みを報告した。

 韓国は全国・全産業単一最低賃金が適用される。その中央水準の最低賃金を決める最低賃金委員会に、青年ユニオンは民主労総の推薦で2015年から労働者委員として参与している。2018年度の最低賃金を決める今年の審議は7月15日に終了した。審議の結果、2018年度の最低賃金は7530ウォンに決まった。2017年の6470ウォンに比べて16・4%の引き上げで、2000年代で最も高い引き上げ率を記録した。同時に、「業種別に最低賃金に差をつけよう」との経営側の要求を否決し、全国・全産業単一最低賃金制度を守り抜いた。

 日本からは「最低賃金1500円運動」の取り組みをなかまユニオンの井手窪啓一委員長が報告した。

 「現在の平均時給823円では、所定労働時間1860時間働いても年収は150万円にしかならない。東京と沖縄では200円以上の差がある。全国一律時給1500円が絶対に必要だ」と全国署名に取り組んだ。今年3月からは「コンビニ・ファーストフード業界に法令遵守と全国一律業種内最低賃金時給1500円を求める」署名運動を開始。7・28ワンデーアクションで日本フランチャイズチェーン協会に提出した。「毎月2回、駅前などで署名活動を定例化した。のぼりを工夫し、宣伝用ティッシュペーパーも作成した。いっそう世論を喚起し、非正規労働者当事者をつなぐ取り組みにしていきたい」と抱負を述べた。

給付型奨学金の拡充を

 韓国のノ・ヨンスさんは希望連帯労組の地域でのユニークな連帯活動を紹介した。

 希望連帯労組は企業を飛び越え、地域の中小零細労働者、自営業者まで包括する地域労働組合だが、活動は職場内だけにとどまらない。「私たちは地域に注目する」と生活・文化・消費がなされる地域で共に暮らすための生活文化連帯運動、労働問題だけでなく性平等、反戦平和、社会的権利を実現する地域社会運動労組を指向している。

 なかまユニオン阪神分会からは3年にわたるセクハラ争議解決の報告がされた。当該や支援者から「事件すら忘れてしまいたいと思ったこともあったが、助け合いの大切さを感じた3年間だった。これからは他の人を助けられるように生きていきたい」「東京総行動にも4回参加した。決してあきらめないことで支援が広がることも学んだ」と闘いの経験を地域に返す決意が語られた。

 討議では、とくに「若者の貧困問題」解決に向けて取り組みを強めることを確認した。

 「給付型」を実現した奨学金制度の拡充は引き続く課題だ。「貸与型」奨学金=ローン制度改善に向けて「延滞金」の撤廃、返済減免制度の実現が必要だ。3月には奨学金問題ホットラインの取り組みを通して「広島なかまユニオン」が結成された。

 労働争議も重要局面が続く。最高裁が高等裁判所に差し戻した国際自動車の残業代不払い訴訟は9月14日に最大の山場を迎える。2次、3次、4次訴訟弁論、差し戻し審弁論準備とすべての訴訟が同期日に整理された。労働基準法37条に基づく公正判決署名を全国に広げるときだ。

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