2017年08月18・25日 1490号

【辺野古中止、オスプレイ撤回へ 世界自然遺産へIUCNが来日】

 「4度のIUCN(国際自然保護連合)勧告を政府に実行させ、辺野古埋め立て中止・オスプレイ配備撤回を実現しよう」をテーマに第9分科会を開催しました。

9・3那覇でシンポ

 ジュゴン保護キャンペーンセンター(SDCC)共同代表で音楽家の海勢頭豊さんは「安倍政権は戦争政権。一方ジュゴンは沖縄で平和の神として信仰され、非武の沖縄の歴史を精神的に支えてきた。だからこそジュゴンを守る国際世論を高め、安倍を終わらせジュゴンと辺野古の海を守らなければならない」とあいさつしました。

 続いて基調報告です。主な点を紹介します。

 (1)昨年9月ハワイで開催されたIUCN第6回世界自然保護会議で、辺野古埋め立て土砂による外来種侵入への管理強化を日本政府に求める勧告が採択された。しかし沖縄防衛局は外来種対策を業者任せにしており、仲井眞前知事の埋め立て承認時に設置された「環境等監視委員会」でも有効な議論はされていない。

 (2)沖縄県と名護市はIUCNに対して、外来種対策に関して日本政府に指導を求める決議を上げ、書簡を送った。IUCNからは「日本政府の要請があれば専門家を派遣し、有効な助言を行う用意がある」との返書があった。日本政府はこの返書に応え、外来種対策に関するIUCNの指導助言を受け入れるべきである。これを実現するのは運動の力だ。

 (3)環境省は今年2月、ユネスコに沖縄やんばるの森の世界自然遺産の申請を行った。やんばるの森の世界自然遺産申請は、2000年アンマンでの第2回世界自然保護会議で環境保護団体側から要求したもの。米軍北部演習場の存在のため、この申請を引き延ばしてきたのは日本政府の側。今回の申請はやんばるの環境保護を求める国内外の世論に政府が押された結果だ。

 (4)やんばるの森の世界自然遺産登録にあたって最大の問題は、北部演習場の存在とそこでのヘリパッド建設とオスプレイ訓練、そして外来種の侵入だ。自然遺産登録のためには、外来種侵入防止のための「バッファゾーン」の設置が必要だが、北部演習場のために設けられない状態だ。

 (5)9月にもユネスコの依頼を受けたIUCN調査団が来沖する。昨年ハワイでのIUCN勧告とやんばるの世界自然遺産申請の機会をとらえ、辺野古埋め立てとオスプレイパッド建設と訓練による環境破壊を世界に発信し、政府に国際的圧力をかける絶好のチャンスである。これは現在審理中のジュゴン訴訟控訴審にも良い影響を与える。

 (6)そのために、9月3日那覇市内で「シンポジウムと海勢頭豊コンサート〜やんばるの森と辺野古の海を守ろう〜」を開催する。

自然遺産申請は世論の力

 「オスプレイ配備の撤回と北部演習場の撤去が、やんばるの自然遺産申請より先ではないか?という論調もあるようですが?」という質問が出ました。「今回の世界自然遺産申請は、やんばるの環境保護を求める世論を政府が無視できなくなったため。申請の結果は、却下、保留、承認の3通りある。却下、保留の場合は、外来種対策などをまじめにやらない政府を追及する。承認されれば世界自然遺産条約に基づき、北部演習場でのオスプレイ訓練の中止、制限を求めていける。申請の結果にかかわらず政府を追い詰めていける。だからこそシンポジウムを成功させ、発信を行いたい」とまとめました。(SDCC・松島洋介)

世界は見ている―ユネスコ/IUCN調査団が沖縄に 9・3シンポジウムと海勢頭豊コンサート やんばるの森と辺野古の海を守ろう

9月3日(日)13:00〜16:30
那覇市・パレット市民劇場

◆詳細はhttp://www.sdcc.jp/



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