2017年09月01日 1491号

【またもオスプレイ大事故 辺野古新基地造らせない県民大会 諦めない4万5千の怒り】

墜落機は普天間所属

 8月5日午後、オーストラリア東北部沖で、揚陸艦に着艦しようとした垂直離着陸機MV22オスプレイが甲板に衝突し墜落した。米兵3人が脱出できず死亡が発表された。

 このオスプレイは、普天間基地の第31海兵隊遠征部隊ティルトローター飛行隊所属。昨年12月名護市沖での墜落以降も不時着などが続き、墜落事故は2件目だ。米海軍安全センターは7日、被害規模は4段階中で最も深刻とされるクラスA(死者または損傷額が200万j以上の発生)に分類。機体は全壊で被害額8319万5千j(約92億円)としている。

 ただちに普天間基地の地元、宜野湾(ぎのわん)市民や市長、知事、12月に墜落した名護市安部(あぶ)集落住民をはじめ国会議員や県内各政党などが連日防衛局にオスプレイ飛行停止を申し入れた。

 沖縄では、軍事優先の日米両政府のやり取りに怒りがわく。小野寺五典(いつのり)防衛相は米側に「自粛」を申し入れたが、菅義偉(よしひで)官房長官が「運用上必要なものを除いて、国内における飛行を自粛するよう申し入れた」と説明。限定付きの実質容認・黙認であることが暴かれた。事実、8月7日に普天間基地の飛行訓練を再開。10日からの北海道での日米共同訓練でも、千歳市など5つの自治体からオスプレイ参加中止の要請があったにもかかわらず、いったん飛行を見送っただけで、18日には訓練参加を強行した。住民の命より軍事優先むき出しだ。

県民大会で特別決議

 8月12日午後2時から炎天下の那覇市奥武山(おおのやま)陸上競技場で「翁長(おなが)知事を支え、辺野古に新基地を造らせない8・12県民大会」を開催。4万5千人が新基地建設阻止に向けた団結を確認し、直前の事故への激しい憤りを結集した集会となった(関連記事4面)。

 今回は、米国から平和団体「平和、軍縮、共通の安全保障キャンペーン」や「ピース・アクション」が参加。「名護市辺野古や東村高江での米軍基地建設に反対する決議」を年次総会(8/12)で可決した「平和のための退役軍人の会(VFP)」の連帯メッセージなど、日米市民の草の根の連帯が際立った。

 県民の激しい怒りを受け、辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議は「普天間基地所属MV22オスプレイ墜落事故に抗議し、普天間基地の即時閉鎖・撤去を要求する特別決議」を提案し満場の拍手で採択した。要求項目を紹介する。(1)沖縄県内のオスプレイ配備を撤回し、米軍普天間基地を即時閉鎖・撤去すること(2)昨年12月の墜落事故、8月5日オーストラリアでの墜落の原因を究明しすべて公表すること(3)欠陥機オスプレイの沖縄・国内での飛行全面禁止(4)県内の米軍機低空飛行訓練、夜間訓練、つり下げ訓練の禁止(5)自衛隊へのオスプレイ導入を撤回すること。

 決議はただちに内閣総理大臣の他、外務、防衛、沖縄・北方対策担当大臣、米大統領、駐日米国大使に送られた。

知事権限で止められる

 8月15日、沖縄平和市民連絡会の緊急学習会で講師の北上田毅さんは、情報公開制度と現場調査で得た資料を基に、新基地工事の現状と問題点を次のように明らかにした。

 現在辺野古で行われている「K9護岸工事」は、全長300b余りの計画が100bで止まり、しかも「仮設工事」で、年末以降に大幅な「手戻り<前の段階に戻る>作業」となる。また、辺野古側の仮設道路への取り付けなど道路工事もやれるところだけの着工で、申請した工法・工程表とは全く違う。本体工事が進んだかのように見せ、県民の諦めを誘うためのものだ。

 さらに、大幅な設計概要変更となる「海上ヤード」(ケーソン<箱型のコンクリート製基礎構造物>の仮置き場)はとりやめ。新たな海上ボーリング調査(11本+8本、工期2017年10月〜18年3月)が一般競争入札として公告され、実施設計は来年度以降になる。これらは知事承認がなければできず、埋め立ては行き詰まる。

 防衛局は「八方ふさがり」の状況に焦っている。今後、公有水面埋立法に基づくケーソン護岸の全面変更、美謝(みじゃ)川の切り替えなど設計概要の変更申請が不可欠で、土砂搬入計画の大幅変更も必至だ。他にも規制や実施計画の事前協議、環境保全措置の内容変更、工事着工前のサンゴ類移植のための特別採取―すべて知事承認・許可が必要だ。

 国側は、こうした展望がない状況をおおい隠し、県民の諦めを誘う「工事」で税金を無駄遣いしている。ゲート前で毎日200人の座り込み態勢を確立すれば、工事用車両の進入を遅らせ、状況をさらに変えることができる。

 安倍政権・防衛局のデマを打ち破り、現地の座り込みの闘いに合流する意義はいっそう大きい。  (H)



ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS