2017年09月15日 1493号

【“月100時間”は過労死の合法化だ/規制破壊許さぬと雇用共同アクションが労政審抗議行動】

 9月下旬に召集される臨時国会の最大の対決軸は、安倍内閣が進める「働き方改革」関連の法案だ。

 厚生労働省は8月30日、法案要綱のとりまとめをめざす労働政策審議会の労働条件分科会を開催。一定の労働者を労働時間規制の対象から外す「高度プロフェッショナル(高プロ)制度」創設案と月100時間残業まで許容する過労死ライン合法化案(両者は労働基準法の改悪案)、「同一労働同一賃金」と称して正規と非正規の格差を固定化する労働契約法改悪案などを一括法案として策定していく方針を示した。一括にすることで批判の声を上げにくくし、戦争法制のときと同じように国会審議の時間短縮を図ろうという狙いだ。

 「安倍政権の雇用破壊に反対する共同アクション」は同日、厚労省前で抗議の行動を展開した。

 主催者団体を代表して全労連の岩橋祐治副議長は「高プロ制度は“残業代ゼロ”にとどまらず、労働時間と賃金とを切断し、時間に関係なく拘束し働かせる現代の奴隷労働。こんな恐ろしい制度はない」と批判。連帯あいさつした全国過労死を考える家族の会の寺西笑子(えみこ)さんは「労政審には働く人の現実が伝わっていない。月100時間は過労死する時間。2014年に過労死防止法ができたが、働き方は何も変わっておらず、過労死・過労自殺の被害者は高止まりだ」と訴えた。

 参加者からは「3月に東京地裁は地下鉄売店で働く非正規の女性労働者に『あなたたちは身分が違う』と言わんばかりの、請求をすべて棄却する判決を出した。労政審の同一労働同一賃金部会の議論がこれに抗して格差を是正していく方向になるのか」(全労協・柚木康子常任幹事)などの発言が続いた。

 今後の行動として、9月14日の院内集会(11時〜12時半、日本労働弁護団主催)、10月25日夜の日比谷野外音楽堂集会・デモ(雇用共同アクション、労働弁護団などの共催)が提起された。

 労政審による法案とりまとめを許さず、労働法制大改悪案の国会提出を阻止する闘いを強めよう。

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