2017年09月15日 1493号

【原告・弁護団・支援者の力合わせ/国・東電の事故責任を追及/福島原発 損賠請求 千葉訴訟・生業訴訟】

 原発事故損害賠償集団訴訟は、群馬訴訟の前橋地裁判決(3月17日)に続いて9月22日千葉訴訟、10月10日生業(なりわい)訴訟と判決が相次ぐ。国の過失責任を明確にした前橋地裁判決の流れを揺るがぬものにし、さらに不当な損害賠償額を乗り越えて完全賠償を実現させようと9月2日、千葉県弁護士会館で「判決前決起集会」が開催された。呼びかけた千葉訴訟・生業訴訟をはじめ全国から原告・弁護士・支援者ら約350人が参加した。

 集会前半の講演で元裁判官の井戸謙一弁護士は、自らの体験から「裁判官は全国で約3千人なので、ほとんどが知り合い。様子見のような動きも出る。前橋地裁判決は、片足だけ踏み出した。千葉地裁はその踏み跡に片足を乗せ反対の足を踏み出せばいい。(前橋判決のような)損害賠償金額で正義が回復されると裁判官は本気で思っているのか」とコメントした。

 群馬訴訟は双方が控訴中だが、現在、高裁は日程も決めていない状況だ。原告の丹治杉江さんは「判決は苦しんだ末の宝。高裁の前に各地裁の結審が続くので(課題の)損害賠償はみなさんの力で勝ち取ってほしい」と訴えた。

 集会の後半は当事者・弁護団・支援者の発言。

 千葉からは18世帯45人の原告を代表して遠藤行雄さんがあいさつ。「判決を待たず6人の原告がなくなった。勝訴で報いたい。生活とふるさとを取り戻し再び原発事故を繰り返させないための闘いだ」

 生業訴訟原告は9人が登壇した。原告団長の中島孝さんは「相馬で魚屋をやっている。週1回の水揚げに落ちた。果樹園は、汚染された表土が削れず、被曝しながらの農作業。生活再建が全く無視された帰還政策が進められている中で、裁判の意味は大きい」と、意義を強調した。

 全国の訴訟団の発言が続く。

 京都訴訟の原告・堀江みゆきさんは「54世帯が裁判官に直接訴えてきた。『私たちの決断』という本も作ったのでぜひ読んでほしい。3月29日の判決に向けて公正署名に取り組んでいる」と述べた。10月に結審を迎える東京訴訟は来年3月16日に判決予定と報告された。

 かながわ訴訟原告団長の村田弘さんは「千葉裁判を傍聴してきたが、ある原告の『人はどこでどうやって生きて死ぬのか、権利・自由があるのに原発事故被害者には選択は許されていない』の訴えは裁判官に効いたと思う。神奈川の判決はまだ先だが、一緒に頑張る」。関西訴訟原告団代表の森松明希子さんは「大阪は後発の訴訟なので、先行する全国の訴訟、判決のお知らせや連帯デモの写真をスマホで発信するなど、連帯していきたい」。

 千葉の市民からは、公正判決署名に取り組む山本進さんが「署名は5万筆に近づいた。反原発集会参加者らにではなく、地域を回って訴えた意味が大きい」と報告。毎週千葉駅頭で避難者支援・原発ゼロを訴えている「チバでも」の男性は「258回を重ねた。今後も連帯して続ける」。

 いわき市の原発問題住民運動全国連絡センターや公害総行動参加団体など、多くの市民も参加。原告・弁護団・支援者が三位一体で勝訴、完全賠償へ闘う決意を固めた。

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