2017年09月22日 1494号

【1494号主張 制裁・圧力は戦争準備だ 戦争許すな 対話で解決】

武力衝突絶対させるな

 トランプ米大統領、安倍首相、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の戦争挑発合戦は、東アジアの平和を脅かしている。朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)の核実験(9/3)を受け、マティス米国防長官は「(朝鮮全滅)が可能な選択肢を持っている」と警告。朝鮮は「米国はさらなる贈り物を受け取ることになる」(9/5)と応酬し、安倍は「これまでとは異次元の圧力を」(9/7)と挑発合戦をあおり立てている。

 こうした激しい言葉の応酬と軍事演習など挑発行動の繰り返しは、どのような形であれ軍事的な衝突が生じる危険性を生む。グテレス国連事務総長は「軍事行動はあまりにも恐ろしい結果につながる」と米朝に対話を求めた。

 軍事行動で直接深刻な被害を受け犠牲になるのは、朝鮮、韓国そして日本の市民であることを忘れてはならない。絶対にいかなる武力衝突にも至らせてはならず、無条件の対話解決以外に道はない。

米制裁案は戦争行為

 ところが、米国が国連安保理各国に同調を求めた朝鮮制裁決議案は、戦争行為に等しい極めて危険なものだ。主なものは、石油や天然ガスの全面禁輸、繊維製品の禁輸、金正恩など幹部の対外資産凍結と渡航禁止、公海上で朝鮮貨物船を強制的に停止させ検査する臨検などであった。石油全面禁輸は朝鮮の息の根を止め、繊維製品禁輸は外貨獲得手段を奪う。重大なのは、米国案には従来の制裁決議にあった非軍事的措置の記載がなかったことだ。その上で臨検の際に「あらゆる必要な措置を取る」と明記した。「あらゆる」とは軍事手段を含み、武力行使に他ならない。

 こうした制裁―経済封鎖は戦争行為そのものだ。歴史を振り返れば、第一次世界大戦以降、連合国の経済封鎖は交戦手段としてあった。日本は1941年8月、連合国―米国の対日石油全面禁輸体制で追い込まれ、12月には太平洋戦争に突入した。これほど危険な案を安倍は「最大限の圧力」とお先棒を担いだ。

 だが、9月11日の安保理採択では、全面禁輸ではなく原油供給は現状維持に、金正恩らの渡航禁止なども盛り込まれず、臨検も「船籍国の同意のもと」となった。戦争挑発一辺倒という米国の思惑通りにはいかなかった。

 制裁強化や武力威嚇は、解決につながるものでは全くない。今必要なのは、朝鮮の核開発の動機をなくすため、米朝の緊張緩和を働きかけることだ。戦争挑発合戦をやめ、対話、無条件の6か国協議再開、日朝国交回復交渉再開で、一つ一つ朝鮮の核開発・武力挑発の口実を封じることだ。東アジアの非核化、軍縮を強く主張することこそ日本の果たすべき役割だ。

安倍9条改憲はノー

 安倍は、危機を煽って戦争・改憲路線への国民合意形成をはかろうとしている。

 これに対し、戦争と改憲を阻む新たな闘いが始まった。9月8日、「総がかり行動」を超えるかつてない規模と広がりを持つ「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」がスタート。9条改憲反対3000万署名が呼びかけられた。この署名を安倍即時退陣署名とともに広げよう。街頭で市民と対話し、戦争扇動―改憲誘導のうそを暴き、安倍を打倒しよう。

   (9月12日)
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