2017年09月22日 1494号

【強まる沖縄・南西諸島要塞化/新基地建設阻止の闘い続く】

 朝鮮、米国、日本、韓国4政府による朝鮮半島の軍事緊張激化の動きに便乗するかのように沖縄、宮古、八重山の日米軍事要塞化が急速に進んでいる。

概算要求でも先島増強

 8月に北海道で実施された日米共同訓練「ノーザン・ヴァイパー」に参加した在沖米海兵隊部隊の車両が9月5日、那覇軍港に降ろされ、その中に自走式の高機動ロケット砲システム「ハイマース」6台が確認された。これまで海兵隊が使用していた155_榴弾砲よりも強力な火器が沖縄に装備され、海兵隊の機能がさらに強化される。ハイマースは、最大6発のロケット弾を搭載でき、射程距離は60数`に及ぶ。イラク戦争でも使用され、キャタピラーからタイヤ仕様に改造され輸送機C130にも搭載可能。米空軍嘉手納基地や海兵隊普天間基地から離発着し、海外の戦地に派遣される。

 宮古島への陸上自衛隊配備では、防衛省は8月31日来年度予算概算要求に、場所未定のまま弾薬庫施設の用地取得や宮古島警備部隊(仮称)約380人の18年度末新設を盛り込んだ。また、島内の千代田カントリーゴルフ場を国有地化し駐屯地整備と隊舎建設も来年度から開始する。19年度には地対艦ミサイルSSM、地対空ミサイルSAMを配備する予算の道筋を立てた。

 9月6日の報道で、弾薬庫施設は南部の城辺保良(ぐすくべぼら)の採石場にすることも明らかになった。旧日本軍も弾薬庫として使用していた場所だ。上野野原(うえののばる)区など地元住民の反対の声を無視し、10月22日の宮古島市議選結果を待つこともなく、防衛省は宮古へのミサイル配備を急いでいる。

 また石垣島には、18年度予算に用地取得や敷地造成、宿舎整備費用を盛り込んでおり、来年度着工をめざしている。

 概算要求には、水陸機動団と連動する垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ4機のほか、新しく「島しょ防衛」用の高速滑空弾や新対艦誘導弾の開発費用も組み込まれた。

 南西諸島の軍事要塞化は、1944年、旧日本軍第32軍が沖縄を全島要塞化したような勢いで突き進んでいる。

オスプレイまた故障の異常

 米海兵隊普天間基地所属のオスプレイがまた故障した。

 8月5日、オーストラリアで乗員3人が死亡した重大事故を起こしたばかりのオスプレイが、29日今度は大分空港に緊急着陸。機体番号は「11」。2012年9月、普天間基地に最初に配備された12機の1機だ。同機は伊江島での訓練中にも白煙を出して緊急着陸していた。大分空港に緊急着陸する前、岩国基地でもエンジンから炎と白煙を出していたこともわかった。原因はエンジンの不具合という。相次ぐ事故や故障にも、海兵隊は「エンジンを切る際に小さな炎などが出ることは珍しくない。緊急事態とは関係しない」と大騒ぎするな≠ニもとれるコメントを発表した。

 これで普天間基地配備オスプレイ24機のうち、名護市安部沖とオーストラリアで2機が墜落、安部の事故の日に別の1機が胴体着陸し整備修理中、今度の1機がエンジン交換。証明されたのは、オスプレイの例を見ない危険性だ。

 オスプレイの開発に携わった米国防研究所の主任分析官レックス・リボロ氏は「エンジンはオスプレイの大きな問題だ。1200時間ごとの交換として設計されたが、現在おそらく100〜200時間ごとではないか」(9/3琉球新報)と語っている。こんな欠陥機は直ちに撤去しかない。

国連報告の証拠却下

 8月20日から名護市辺野古の米軍キャンプシュワブ・ゲート前での機動隊による強制排除が激しくなっている。連日のように市民が機動隊の暴力で負傷して緊急搬送され、公務執行妨害など市民の不当逮捕が続いている。

 その抗議活動をめぐって威力業務妨害罪に問われている沖縄平和運動センター山城博治議長の裁判で、那覇地裁は、山城議長の長期拘留を批判したデービット・ケイ国連特別報告者の報告書や国連人権理事会が市民の抗議行動などの許容基準を定めたガイドライン(指針)など弁護側から提出された証拠請求の大半を認めなかった。国連報告すら証拠採用を拒否する。司法の反動化はここまで深化している。

 だが、安倍の意思を忖度(そんたく)しない国際世論は沖縄の闘いを支持している。ドイツの国際平和団体「国際平和ビューロー」(IPB、ベルリン)は8月31日、2017年の平和賞を辺野古新基地建設に反対する「オール沖縄会議」に授与することを決めた。

 今年の沖縄は記録を塗り替えるほどの猛暑。それでも市民は護岸工事を止めるためゲート前での座り込みを続けている。高江での工事も再開された。那覇では山城さんら3人の公判闘争も続いている。厳しい試練が続く辺野古ゲート前に、平和賞受賞を歓迎し「勇気をもらえた」と新基地断念に向けた決意を新たにする声が上がった。  (N)

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