2017年09月22日 1494号

【どくしょ室/私たちの決断 あの日を境に…/原発賠償京都訴訟原告団編 耕文社 1200円+税/避難者がつづる場景と思い】

 週刊MDS読者の皆様には、いつも励ましをいただき感謝申し上げます。

 私たちは、「原発事故による」避難者が原告になり国と東京電力を相手取り裁判を起こしている原発賠償京都訴訟原告団です。裁判では、私たちの避難の権利や事故の究明、責任の追及、原発事故被災者全員への恒久的な政策を求めています。

 2011年3月11日の東日本大震災による福島第1原子力発電所の事故は、私たち避難者の生活を一変させた苦しさに満ちた出来事です。原告の一人である私は当時、福島県南相馬市から3週間の福島市での避難生活を経て、小学生だった子ども2人と4月の始業式に間に合うように、ごみ袋2つに着替えを詰めて、京都府へと再避難してきました。子どもたちは、お友だちとさよならも言わずに新しい生活をすることになりました。

 あれから6年半が過ぎ、事故の原因究明も廃炉作業も進んでいません。福島県内は除染の効果も見られていません。避難者への唯一の支援であった住宅無償提供の打ち切りにより避難元にいる家族と避難先の母子のダブルの生活費で生活困窮になり避難を断念したり、避難者の子どもの中には、新しい土地になじめずにいじめにあったり不登校になってしまう子もいます。情報は統制され、さも「勝手に避難している」かのようにみられたりしています。

 当事者である東電は、想定されていた津波対策をせず、私たちの税金を投入し経営の延命がなされ、今は事故後初めての原発の再稼働認可が下りる事態となっています。ここ関西でも、原発事故は風化の一途をたどり、関西電力でも再稼働が平然と行われています。福島県よりも原発立地の条件が悪いこの若狭原発群で、もし事故が起きれば避難することがどれほど困難なことか、本当にみんなが考えてほしいです。

 私たち原発賠償京都訴訟原告団は、今月29日に結審、来年3月29日に判決を迎えます。これを機に、『私たちの決断 あの日を境に…』という本を上梓(じょうし)いたしました。原発事故の恐怖や、避難の場景、避難先での生活の苦労やみなさまへのささやかな感謝の気持ちなどが書かれています。避難のガイドブックのような1冊です。これをきっかけに今後も一層ともに行動できますよう願っています。

(原発賠償京都訴訟原告団共同代表・福島敦子)

■問い合わせ 京都訴訟・原告団を支援する会 mail shien_kyoto@yahoo.co.jp FAX 075-622-9870 ホームページ http://fukushimakyoto.namaste.jp/shien_kyoto/index.html

■京都訴訟結審期日 9月29日(金)京都地裁 9時50分〜10時5分 抽選番号配布/10時半 開廷

■記者会見&報告集会11時30分〜京都弁護士会館

■裁判勝利をめざすレセプション 14時〜キャンパスプラザ京都
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