2017年10月06日 1496号

【みるよむ(455)2017年9月23日配信 イラク平和テレビ局in Japan まともな道路と水道と下水道を作れ ラシード地区住民の怒り】

 2017年7月、サナテレビは首都バグダッド南部にあるラシード地区住民の生活について取材した。この地区は水道や下水道、道路の補修などを自治体当局が放棄している。住民の怒りを聞いていただきたい。

役人のポケットにはカネ

 最初に登場する市民が訴える。この町のメイン・ストリートで、自治体当局が下水道を作るとして道路を掘った。だが、下水道は設置されていない。雨が降れば道路はぬかるみに変わる。サダム・フセイン独裁政権が倒れ「民主主義と自由」がやって来たはずなのに、実際にはこのありさまだ。この男性は「自由とは、政府の連中のポケットにだけお金を入れることなのか?」と皮肉る。

 2人目の男性も辛辣(しんらつ)だ。「この地域は、ないものだらけなのだ」と言う。舗装道路も、水も、下水道もない。そのうえ巨大な沼地にゴミが捨てられ続け、あたりはゴミのにおいにおおわれている。

 もちろん住民はただ我慢してきたのではない。自治体当局に下水道工事を完成させろと要求してきた。それでも当局は「予算がない」などと言って責任を果たさない。住民は「当局が1年のうち1か月でも動いていたら、このラシード地区は天国に生まれ変わる」と語る。行政の停滞と腐敗ぶりは行き着くところまで来ている。

日本の問題でもある

 日本の視聴者には、ぜひ、これは日本の私たちの問題であることにも注目してもらいたい。

 2003年のイラク占領以後、市民生活の窮乏を救うためとの名目で、日本政府は巨額の「復興支援」をイラク政府に与えてきた。金額は昨年末までに5991億円にのぼる。しかもそのうち、電力に1951億円、上下水道に1550億円を支払っているという。

 しかし、巨額の資金は市民生活の改善に全く役立っていない。汚職まみれのイラク政府と政治家を肥え太らせただけなのだ。これでは、まるで日本政府とイラク政府が仕組んだ巨大な国際的金融詐欺事件のようなものだ。

 まともな生活を要求するイラク市民の闘いと連帯し、日本政府による石油利権確保を狙った腐敗政権への援助に反対しなければならない。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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