2017年10月06日 1496号

【平和と民主主義をめざす京都市民の会 給付型奨学金へ講演会 京都から突破口を開く】

新自由主義と地域で対決

 安倍政権の進める戦争国家づくり、新自由主義政策と対決して、一人ひとりの人間を大切にする地方自治体の政策を実現しようとの取り組みが各地で進んでいる。

 平和と民主主義をめざす京都市民の会(小山田春樹代表)では、給付型奨学金制度実現を求める運動を展開。8月19日、元日本テレビアナウンサー小山田春樹と語る集い「若者がいきいきと暮らせる京都を」を開催し、小山田春樹さんは京都市政改革の重点政策として、市独自の給付型奨学金制度の創設、教育の無償化実現を打ち出した。小山田さんは、朝と昼の街頭演説で政策を訴え、京都市民の会では、阪急西院、地下鉄太秦(うずまさ)天神川、嵐電帷子(かたびら)ノ辻などの駅前で給付型奨学金と教育の無償化についてシール投票を実施。学生などの若者から中高年まで多くの世代から関心を集め、制度実現に圧倒的多数の支持を得ている。

希望するすべての若者へ

 取り組みの第2弾として、9月23日、比嘉勝子講演会「希望するすべての若者へ無償の奨学金を」が市内で開催された。沖縄なかまユニオン委員長、奨学金返済に悩む人の会・沖縄代表の比嘉さんは、自身が奨学金返済の当事者。家庭の経済状況悪化から高校時代に無利子の奨学金、大学時代に利子付き奨学金を借り、社会人となり返済を始めたが、両親の離婚により母、弟、妹の3人を扶養しなくてはならなくなり返済困難に直面。窮地に陥っている時、首都圏なかまユニオンの紹介で返済金猶予を申請し、団体交渉を行うなどの活動を開始。沖縄なかまユニオンを結成して相談活動を始めて、貸与型奨学金制度の深刻な問題点が明らかになっていった。

 病気、怪我などで収入が減り返済が出来なくなるケースが多く、延滞金が発生すると、返済を再開しても延滞金、利子、元金の順で返済が充当されるため、負債は増え続け「奨学金地獄」へ落ちてしまうという。3か月延滞で個人情報機関に登録(ブラックリストに載る)、9か月以上延滞で裁判所から一方的に支払督促、さらに民間の債権回収会社から電話がかかったり、ポストに請求書が届く…。サラ金並に怖い日本の奨学金制度だ。2004年、小泉政権時代に設立された独立行政法人日本学生支援機構は、前身の日本育英会に比べて利益追求型へと変質していく。元金の倍の延滞金が付いてしまったと、親が相談に訪れたケース、裁判所から一括返済督促が届いたが夫にも相談出来ないケースなど、深刻な事例も多く、家族、親族を保証人として申し込む人が多いため人間関係が破壊されてしまう。

 フランス、イタリア、北欧をはじめ給付型奨学金制度が世界の主流となっている中で、たちの悪い教育ローンでしかない日本の奨学金制度は今こそ改めていかなくてはならない。京都市民の会では、市独自の給付型奨学金制度創設実現をめざして、11月初旬の京都市への要請行動に取り組む。「京都から突破口を開く」小山田さんは意気込む。

歌舞団公演の訴えも

 目前に迫った「月桃の花」歌舞団『ガマ人間あらわる』公演(市民の会が協賛)のショートバージョンも披露され、参加を訴えた。

 講演後には交流会が開かれ、司会を担当した看護師の女性(26)は「私も奨学金を返済しているので非常に切実な問題として講演を聴きました。問題点が分かりやすく解説されて勉強になりました」、50代の女性は「希望がキーワードだと思いました。独りで悩まないで一緒に取り組んで解決していくことができたらと思います」と感想を寄せた。

 ◆10月14日(土)15時〜17時30分 「月桃の花」歌舞団京都公演『ガマ人間あらわる』 京都市右京ふれあい文化会館(JR花園駅徒歩5分)





 
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