2017年10月20日 1498号

【みるよむ(457)2017年10月7日配信 イラク平和テレビ局in Japan 生ゴミの中で暮らす住民の訴え】

 2017年6月、サナテレビはバグダッドの貧困地域の住民にインタビューを行った。政治家は選挙の時に宣伝に来るだけで、水道も電気も来ない地域住民の生活には目もくれない。そんな政治の実態を住民は厳しく告発する。

 まず、サナテレビが取材した地域の様子を見ていただきたい。建物が破壊され、がれきが広がっている。住民はみな貧困家庭だ。まともな住居はあまりなく、テントなどで暮らしている。路上にじゅうたんを敷いて家族で座っている人たちもいる。「お金がなく、家がなく、着るものもない」という状態である。

 住民は口々に社会サービスがまったくないと訴える。仕方なく近くの電線から非合法に線を引いて電気を使っている。

 ある女性は「善良な国民に訴えます。助けてください」と語りかける。水道も電気も来ず、行政当局はゴミの回収さえまともにしないので「生ゴミの中で暮らしている」と言うのだ。

 女性はイラク中部カルバラから移住してきた。カルバラはIS(「イスラム国」)などによる自爆攻撃や爆弾攻撃が頻発している地域だ。テロリストの攻撃か、軍の無差別攻撃に遭ったのか、家は焼けてしまい、バグダッドに移ってきた。息子がやけどを負ったために治療費50万ディナール(約4万6千円)を支払った。これはイラクの1か月の最低生活費にあたり、仕事もまともにない中では大変な負担だ。一家にはもうお金はない。

政府予算は汚職の原資

 こうした生活を強いられている地域に、政治家は選挙の時だけやって来る。候補者は写真やチラシを配って「要求を実現します」と口では言うが、選挙が終わったら二度と来ない。バグダッド州知事の選挙パンフレットを見せ、「選挙の時だけいい顔をしながら、予算の配分も電気の供給もまったくない」と怒りをあらわにする人もいる。

 世界的な産油国のイラクは10兆円を超える政府予算がある。しかし、それはグローバル資本の金儲けと汚職のために使われている。この与党政治家の姿は日本とそっくりだ。

 サナテレビは、貧困地域の住民の声を伝え広げることで、人間らしい暮らしができる社会にするために政治を変えようと呼びかけている。日本でも、腐敗した政治家を一掃し、安倍政権を打ち倒そう。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)



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