2017年10月20日 1498号

【宮古島に暗躍する自衛隊強化 民意はオスプレイ撤去だ 知事怒りの10・10弁論へ】

下地島空港開業の背後

 日本のグローバル資本が、南西諸島軍拡につながる危険な動きを進めている。

 宮古島と伊良部大橋で結ばれた下地島。その下地島空港の旅客ターミナルと周辺施設が三菱地所によって2019年3月に開業する。2年前に伊良部大橋が完成するまで下地島には連絡船で渡らなければならなかったが、今では宮古島市街地に車で30分以内で移動できるほど便利になった。下地島空港はパイロット養成空港として1979年に建設された。計画当時、琉球政府屋良朝苗行政主席と日本政府との間で、軍事利用しない覚書が交わされている。

 

 面積204平方`b、人口約5万5千人の宮古島市。「2つも民間空港が必要なのか」―為政者の取り巻きがつぶやきそうだ。現在、民間空港として使用されている宮古空港の機能を下地島空港に集約させ、市街地の真ん中にあって交通を遮断している宮古空港の再開発の計画が出ている。宮古空港のすぐ近くには、2018年度にミサイル基地の配備が予定されているゴルフ場千代田カントリー跡地、野原(のばる)の航空自衛隊基地もある。宮古空港がもし使われなくなれば自衛隊施設に移管する話が出てもおかしくないのが、今の宮古島を取り巻く政治環境だ。そんなことになれば宮古島は本当に基地だらけの島になってしまう。宮古ブルーと呼ばれる類のない美しい海や自然と人殺し訓練をする軍事基地が共存できるわけがない。

 陸上自衛隊ミサイル基地が計画される千代田カントリーの地権者の大半が土地の提供に本意ではないが仕方なく同意し、今月には正式契約を結ぶ。ミサイル基地建設に反対する多くの市民の声を議会に反映させなければならない。衆院選と同日の10月22日、宮古島市議選が投開票される。命の水を守ろう∞ミサイル基地のない平和な島を≠ニ訴える無所属の石嶺かおり市議が再選をめざして立候補の予定だ。

オスプレイがまた事故

 米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが普天間基地に配備されて5年を迎えた。オスプレイ12機が岩国から宜野湾(ぎのわん)に飛来したのは2012年10月1日。日米両政府はオスプレイの構造的欠陥を否定するが、この5年間で13件もの大事故や不具合が発生している。

 県内の新聞が、配備後5年の県民世論調査を行った。県民の68%はオスプレイの「配備撤回」を求め、「危険だと思う」が72%を占めた。朝鮮半島情勢の緊迫の中、最近、米軍の訓練は早朝から深夜に及び、騒音が日常化して「耳なり」「家に振動」など暮らしを破壊していることも調査で明らかになった。那覇市内でさえ、オスプレイ飛行ルート下の住宅では、大型バイクが噴き出すエンジン音のようなドッドッドッという不快音と振動でガラス戸も揺れた。

 そうした最中、9月29日午後5時、新石垣空港に2機のオスプレイが緊急着陸した。1機は油漏れで滑走路は閉鎖され、航空各社は目的地変更や遅延など8便、計571人に影響が出た。フィリピンでの演習に行く途中だった。

 同じ9月29日、シリアでは、海兵隊のオスプレイが地上に激突、大破し乗員の兵士2名が負傷する重大事故が発生した。敵による攻撃ではなく、事故原因は調査中と米中央軍が発表。世界中で事故を繰り返す欠陥機オスプレイは米兵士にとっても危険だ。1%の軍需産業―グローバル資本の利益のためのオスプレイ製造は中止し、直ちに廃棄するしかない。

工事停止へ県が行政指導

 翁長雄志(おながたけし)沖縄県知事は10月2日、沖縄防衛局に対して辺野古工事停止の行政指導を行った。埋め立て予定地に14群体の希少サンゴが見つかったにもかかわらず県に報告をしなかったばかりか、その内13群体が死滅、消失したからだ。防衛局への知事の不信は頂点に達し、「防衛局の姿勢は不適切かつ不誠実。承認権者として見過ごせない。環境保全の視点を欠き工事進捗を優先する防衛局の姿勢は大変遺憾だ」と停止に踏みきった。だが、防衛局は知事の行政指導も無視する構えだ。

 10月10日、岩礁破砕差し止め訴訟第1回弁論で、翁長知事はこうした防衛局の姿勢に対して怒りの陳述を行う。

 今衆院選では、辺野古埋め立て工事を強行した張本人の一人、井上一徳前沖縄防衛局長が京都5区で希望の党から出馬する。小池百合子の防衛大臣時代からの肝入りで政界入りを狙う。戦争屋の自民党も希望の党もいらないと全国で声を広げよう。  (N)



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