2017年10月27日 1499号

【沖縄・高江に米軍ヘリ墜落炎上 事故続発の元凶は演習激化 直ちに訓練停止、全基地撤去だ】

 またしても、沖縄で米軍機の重大事故が引き起こされた。10月11日、普天間基地の米海兵隊所属CH53E大型輸送ヘリコプターが東村(ひがしそん)の民有地に墜落、炎上し、大破した。

 政府が暴力で建設を強行したヘリ(オスプレイ)パッドにとり囲まれる高江の集落から300bしか離れていない。住民を巻き込んだ大惨事にならなかったのは偶然であり、奇跡的ともいえる。


放射性物質も飛散

 とはいえ、2004年に沖縄国際大学(宜野湾市)に墜落した際と同様、放射性物質(ストロンチウム90)の飛散という極めて深刻な被害が明らかにされた。2004年時の数倍となる大量の飛散が推定されるにもかかわらず、日米両政府による日米地位協定をタテにした実態調査の妨害、証拠隠しがまかり通る現状は少しも変わっていない。

 沖縄県内での米軍機関連の事故は、1972年の本土復帰以降700件以上となっている。米軍機墜落は49件に上り、ほぼ毎年1件以上墜落ということになる。2015年8月には、伊計島沖で米軍ヘリが墜落、6人の重軽傷者を出した事件は、陸自隊員も参加していたことが判明し、より強い印象を残している。墜落した機種もF15、FA18、AV8ハリアーなどの攻撃用戦闘機、SR71戦略偵察機、C130輸送機、CH45輸送ヘリ、CH53大型輸送ヘリ、MV22オスプレイと多機種に及んでいる。

異常な事故続発

 今回の重大事故は昨年12月、MV22オスプレイが名護市安部(あぶ)で墜落、大破した事故から1年もたっていない。このわずかな期間に、沖縄を中心に米軍機による様々な事故、事件が異常なほど頻発している。

 安部での墜落事件と同じ日、事故機と別のオスプレイが普天間飛行場に胴体着陸。1月には伊計島で米軍ヘリが農道に不時着。3月には宜野座村で米軍吊り下げのタイヤ落下。オスプレイの「緊急着陸」は6月に伊江島補助飛行場、奄美空港で、8月には岩国基地(山口)から離陸したオスプレイが白煙を上げ、大分空港に緊急着陸した。9月の末には、石垣空港に2機が「緊急着陸」、何日も「居座った」。沖縄外でも、FA18戦闘機が高知沖で墜落、オスプレイ墜落(オーストラリア)、米軍機以外でも米イージス艦(南シナ海)、自衛隊ヘリ墜落(北海道)など重大事故が次々と起こっている。

命かえりみない訓練激化

 なぜ、この間、異常なほど米軍機などの事故が激増しているのか。もともと、オスプレイのように軍事機能を優先するあまり、構造的欠陥を抱えたまま実戦配備し、多用していることがある。

 そして、近年沖縄を中心にこの欠陥機を含めた多くの軍用機などが活用される機会が激増していることが最大の要因であると考えられる。

 背景にあるのは、沖縄を拠点にした米軍による訓練の激化だ。米軍は辺野古新基地を含むキャンプ・シュワブ、高江ヘリパッドを中心にした北部訓練場、伊江島補助飛行場を北部の訓練拠点のトライアングルと位置付け、高江、辺野古の基地建設を日本政府に急がせる一方、伊江島補助飛行場で強襲揚陸艦の甲板を模した着陸帯「LHDデッキ」の拡張工事を実施し、嘉手納基地で格納庫や駐機場の整備をすすめている。

 訓練激化はパラシュート降下の特殊作戦の合同訓練強行にも表れている。米軍が米国内で実施していたこの訓練を沖縄に移転していたことが明らかになっている。「パラシュート降下訓練は伊江島に限定」とのSACO(日米特別行動委員会)合意すら無視する暴挙だ。嘉手納だけでなく最近では津堅島(うるま市)でも強行されている。

日米合作で危険生む

 さらに、見逃すことができないのは自衛隊が米軍基地内での研修や訓練に参加、米軍基地内での合同訓練実施が激増していることだ。特にキャンプ・ハンセンでの陸自訓練は、ここ数年、1年に100回近くまで急増している。沖大東島では2013年11月に陸海空自衛隊の統合部隊訓練、2015年11月と2016年6月に海自護衛艦による対地射撃訓練などが行われた。沖縄の住民に危険な日常を強いるのは日米合作と言っても過言ではない。

 沖縄県議会は、6か所のヘリパッドの使用禁止、民間地、水源地上空での米軍機の飛行訓練中止を求める抗議決議・意見書を全会一致で可決した。住民の生活に戦時を強いる危険な訓練とそのための基地運用を直ちに停止する以外に、沖縄の人びとの安全は確保されない。



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