2017年11月10日 1501号

【議会を変える市民と変える/東京都日野市議・有賀精一/障がい者差別禁止条例を】

 「障害者差別解消法」が昨年4月に施行されました。目的は、全ての国民が、障がいの有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障がいを理由とする差別の解消を推進するためとしています。

 先進的な自治体では国に先んじて「障がい者差別禁止条例」を制定しています。

 読者の皆さんの町はいかがですか。

 わが町日野市では、3年ほど前から障がい者団体が学習会を重ね、行政や議会とも連携しながら、条例づくりを進めているところです。

 10月下旬、市内の障がい者団体と市議会議員の懇談会がありました。

 条例も議題となっていましたが、台風21号による避難の問題に議論が集中しました。日野市は、台風の接近に伴って、土砂災害のおそれがあるため10月22日午後に市内全域の8万世帯18万人を対象に避難準備の情報を出しましたが、この情報は、要援護者に対する避難行動の呼びかけとなっていたからです。

 この議論の中で、議員の一人が、災害時の心得として「自助7、共助2、公助1」が大事だとの発言をしました。ご存じの方もあるでしょう。阪神・淡路大震災の教訓として、自助は災害時に自分で何とかすることであり、それを前提として備えておくこと、共助は地域コミュニティやボランティアなどによる助け合いのこと、公助は行政など公的機関による支援のことと言われ、その割合を数字で示したものです。

 障がい者や関係者はこの教訓発言に不満を持ったようです。自助7といっても障がい者は健常者と違い、大きなハンディがあるのです。当然のことながら、ハンディを埋めるために行政の果たす役割が重要です。「障害者差別解消法」の目的からも理解できることではないでしょうか。

 また、この議論の後に、障がい者に対する偏見の問題がいくつも発言として出てきました。学校で、障がい児が分離される傾向が強く、子どもたちの差別感情が助長されている。障がい児も一緒に学び、交流する場があれば、同じ人間として認め合い助け合う心を持つようになる等々。

 学校の現場も私たちの社会も、「障害者差別解消法」の目的を実現していくにはまだまだ多くの課題があります。

 けれども、障がい者にとって生きやすい社会はすべての市民にとっても生きやすい社会です。

 わが町の条例制定に向け、私自身が意義を再確認した懇談会ともなりました。
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