2017年11月10日 1501号

【宮古島に自衛隊ミサイル基地NO!/明るく元気に闘い続ける/「てぃだぬふぁ 島の子の平和な未来をつくる会」共同代表 楚南有香子さん】

対話でつながる

 石嶺かおりさんが得た698票は、地縁・血縁が支配的な中、議員活動が評価された価値ある票だ。

 どうやったら勝てたか話し合った。何よりも対話を見落としたことが一番の敗因。出向いて会話する時間を作れなかった。たまたまスーパーの前を通りかかり、腕をつかまえて「頑張ってよ」と言ってくれる人がたくさんいたが、遠慮して「お名前だけでも教えてください」と聞けなかった。「何かあったら連絡を」と緩やかでも人とつながる作業、「同じ気持ちだよ」と言う人としっかりつながることが一番の力になる。

環境アセスの対象に

 落選したから終わりではない。毎週金曜日のスタンディングを市役所前からミサイル基地予定地の千代田カントリー前に移し、「反対の意思を示していこう」と再開した。

 環境アセスメント実施の陳情を県議会に提出している。対象事業に基地が入っていないことは驚き。ミサイル基地は弾薬・燃料・洗浄がある。地下水が汚染されたら5万人の水道水が一瞬で失われる。農業用水が汚染されたら農業がだめになる。リスクははっきりしている。しかし資料を見ると、担当課がアセスメントの処理方針を棚上げしてしまっていた。環境アセスメントは、そこで暮らす人や生きものを守るためのものではないのか。国は基地を作るのが前提で県は手を出せない。それを動かすのが市民の力だ。多くの人びとの力を集めて「基地を環境アセスメントの対象事業に」と12月県議会に働きかけていきたい。

市民に事実知らせる

 賛成・反対の真ん中で判断できないでいる大ぜいの市民に「事実はこうですよ」と知らせる。賛成の人には「なぜ賛成か知らせてください」と働きかける。会話し、できるだけ情報を伝える。県内で報道され、県民と認識を共有する作業にとりかかっている。

 野原(のばる)の自治会は反対決議をあげている。何人かの地権者が「土地を売りたい」と言っているだけ。前自治会長は「隣人同士仲良く折り合いをつけやってきた。基地ができ、これ以上負担が増えたら、村を出ていった若い人が帰ってこない」と。「暮らしにくくなる」の言葉は重い。村は存続できず、歴史や文化が基地の被害で失われる。こんな悲しいことはない。

真の平和をつくる

 野原は市街地から少し離れる。弾薬庫候補地の保良(ぼら)はさらに遠い。見えない所、聞こえない所に押しつける。遠い沖縄に基地を押しつけるのと全く同じ構図だ。

 ミサイル発射や核実験がこんなに頻繁に報道される時代が来るとは思わなかった。だからこそ、戦争につながるものをつくってはいけない。誰かが一度ボタンを押せば島は終わる。武力で国と国が対峙することをやめる。根本的には日本国憲法にたどりつく。私は、「平和のうちに平和を叫び続ける。そうしないと、平和を言えない時代が来る」と言っていた父の姿を見て育った。次の人が見てつないでくれると信じているから、明るく元気になれる。

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