2017年11月17日 1502号

【サード<THAAD>反対 朝鮮半島の非核化と脱原発 平和と国際連帯のために(上) ユ・ミヒさん】

 11月5日に開かれた団結まつり(大阪)に韓国から参加した「軍縮平和日韓共同行動」ユ・ミヒさんの報告を2回に分けて掲載する。(翻訳は編集部)

 今、韓国は秋です。青空と紅葉がとても美しい季節です。しかし、季節の美しさを満喫するには、朝鮮半島は今あまりに不安です。いたるところに潜む戦争と核、貧困と差別による不安定な生活の連続です。朝鮮の核とミサイル実験を口実に高められた戦争危機、地震帯の上に建てられた老朽原発や新規原発建設の危険など、韓国の人びとはこれまでより不安な時代を生きています。しかし、不安に屈せず、平和を開く民衆の闘争も繰り広げられています。日本の隣人と状況を共有し、連帯を模索しようと思います。

サード闘争の継続

 韓国星州(ソンジュ)ソソン里(リ)は、米国が中国に対して覇権を守ろうと配置した高高度ミサイル防衛システム、サード(THAAD)のために、静かな村の住民らが大変な苦痛を受けています。

 ソソン里に設置されたサード基地は、中国の中長距離弾道ミサイルの早期警報を米日に提供するための対中情報作戦の前哨基地です。有事の際の軍事攻撃対象地域となります。サード配置発表以来、5万人の住民が立ち上がり、選定手続きの不当性と電磁波の有害性を指摘しました。

 しかし、サード配備地はチョジョン面(ミョン)のロッテ・カントリークラブに決定し、米軍が駐留して現在2機のサードが配置されました。政府は手続き上の問題をただし、住民との意思疎通を図るという約束を破って、サードを追加配置。形式的な小規模な環境影響評価が行われましたが、ソソン里では今もサード反対団体が配置撤回を主張し、苦しい状況ではあるものの頑強に闘争を続けています。

済州島ではハンスト

 韓国には、在韓米軍の戦略的な位置づけとともに市民への宣伝の役割で、平沢(ピョンテク)市に海兵隊と空軍の戦略基地である米軍キャンプ・ハンフリー、および烏山(オサン)空軍基地があります。同様の目的で済州江汀(チェジュカンジョン)に韓国海軍基地を建設しました。星州のソソン里・サードミサイル基地の完成によって朝鮮半島全体が、巨大な米国の対中国の前線基地になっています。

 カンジョン海軍基地は、住民生活を破壊し、大きな被害をともなって完成されました。現在、多数の米原子力空母の入港や軍事フェスティバルなど、戦争の前線基地としての役割を果たしています。

 最近では韓国政府が済州第2空港を建設すると発表。これを阻止するために、済州の住民がハンストをするなど強力な闘争を行っています。済州第2空港は、カンジョン基地に加え、軍の戦略的柔軟性行使を広げる狙いがあります。カンジョン海軍基地が建設されてもいずれは必ず基地を閉鎖させる覚悟でカンジョン村を中心に繰り広げられてきた反戦平和運動は、過去10年間、一日も休まずに闘争を続けています。

すべての核に反対

 朝鮮半島の非核化と脱原発のために、すべての核に反対し、脱原発で平和を守る運動が展開されています。

 朝鮮の核実験に対し韓国の一部保守勢力は戦術核保有を主張しましたが、多くの市民は、核兵器に核兵器で対抗する考えすべてに反対します。

 したがって、「国際的な力関係」や「安全保障上の理由」に関係なく、即時の朝鮮半島非核平和体制を要求し、南北が主軸になって平和協定を結ぶことを促しています。

 最近では、朝鮮の核を口実に10月13日に釜山(プサン)に寄港した米原子力潜水艦ミシガンや、同じく21日に寄港した空母ロナルド・レーガン、26日、済州に寄港した米イージス艦マーティンなど、朝鮮半島近海での戦争の危機を高める米軍艦の入港に反対する地域住民の激しい抗議が続きました。

        《つづく》

ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS