2017年11月24日 1503号

【日米首脳会談/安倍の好戦性が一層鮮明に/軍事圧力やめ対話に舵を切れ】

 11月5日〜7日、来日した米トランプ大統領と安倍首相は、朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の核・ミサイル開発について、圧力一辺倒で対応することを確認した。

 7日の共同記者会見で安倍は「日米が主導し、国際社会と緊密に連携し、あらゆる手段を通じて北朝鮮に対する圧力を最大限まで高めていくことで一致した」と述べ、日本独自の追加制裁として朝鮮の35団体個人の資産凍結を決定するとした。トランプも「市民社会、国際社会の平和と安定への脅威だ。われわれは看過できない。戦略的忍耐の時代はもう終わった」とし、対決姿勢を崩さなかった。日米首脳会談に先立つ横田基地での演説でもトランプは「いかなる独裁者も米国を過小評価するべきではない」と述べ挑発的発言を繰り返している。

続く軍事挑発

 安倍・トランプによる軍事挑発が続いている。

 11月11日〜14日の3日間、米韓、米日の合同軍事演習が展開された。

 米国はこの演習に「ロナルド・レーガン」「セオドア・ルーズベルト」「ニミッツ」の原子力空母3隻とイージス艦11隻を参加させた。

 米空母3隻が同時に西太平洋で演習するのは異例で、07年以来10年ぶりだ。

 米韓合同演習には韓国からイージス艦など7隻が、米日合同演習には自衛隊からヘリ空母など3隻が参加する。

 この演習に、朝鮮側は「軍事的脅威による恐喝に狂ったようにしがみついている」と非難し「ささいな軍事的動きも武力衝突へとつながり、全面戦争に拡大しかねない最悪の危機局面だ」と警告した(11/11時事)。

 偶発的軍事衝突の危険もはらんだ演習の拡大・強化は、戦争を招くことはあっても核・ミサイル問題の解決にはつながらない。

「圧力」以外に策持たず

 共同会見の際、記者から「北朝鮮との偶発的な軍事衝突を避けるためにどのような対応が必要と考えるか」との質問に、安倍は「日米同盟は地域の平和と繁栄の礎(いしずえ)」「国際社会全体で北朝鮮に対する圧力を最大限まで高めていかなければならない」と繰り返すのみ。武力衝突回避の対策もなく軍事的圧力のみを高めていることを露呈した。安倍は市民を戦争の危機にさらしていることをまったく意に介していない。

 トランプは「仮に米国が軍事攻撃に踏み切った場合、北朝鮮に残された拉致被害者の救出についてどう考えるか」との質問に、拉致問題一般に関する所感を述べるにとどめ「様子を見ていきたい」とした。もともと、戦時において米軍が救出するのは、米国籍の市民が中心で、日本人を救出することはない。まして、敵対勢力の支配地域にいる日本人など全くの想定外だ。

政権浮揚と軍拡に利用

 記者会見から透けて見えるのは、安倍の突出ぶりだ。それはトランプが訪れた日本、韓国、中国の対比でもあきらかだ。

 安倍は「最大限の圧力で一致」と言明し、追加経済制裁を披露。トランプは「アメリカ合衆国は日本国民と団結し、北朝鮮の悪意に満ちた脅威に立ち向かっていく」とし、在日・在韓米軍の軍事力を誇示した。

 一方韓国では、文在寅(ムンジェイン)大統領が「我々は、北朝鮮の核問題を平和的に解決するよう協力することで一致した」と述べ、これを受けたトランプは軍事力を誇示しつつも「我々は一緒に、軍事的行動ではない、すべての可能な手段を使って、この問題を解決する」と表明せざるを得なかった。文政権も独自制裁を発表したが、同時に9億円の人道支援の準備も進めている。制裁とペアで行っているのは、日米が軍事挑発で韓国は人道支援だ。

 中国は安倍とは逆で、米国をいさめている。

 従来から米韓軍事演習中断と朝鮮との対話を米国に求めており、「経済的な圧力を強めていくことで一致した」とはするが、習近平(シーチンピン)国家主席は「対話と協議を通じて朝鮮半島の核問題を解決していく」との立場を強調した。

 自らの政権浮揚と際限のない軍拡のために緊張をあおり利用する安倍こそが平和的解決の妨害者であり、戦争を呼び込む元凶だ。平和を求める市民の力で政権から引きずりおろさねばならない。

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