2017年12月01日 1504号

【桜井国俊さん(沖縄大学名誉教授)講演会 やんばるの世界自然遺産登録 演習場、新基地問題は切り離せない】

 11月12日エルおおさかで、桜井国俊さん(沖縄大学名誉教授)の講演会を開催し、70名が参加しました。主催はSDCC(ジュゴン保護キャンペーンセンター)も参加する「Stop!辺野古新基地建設!大阪アクション」です。

米軍も当事者

 今年2月、日本政府はやんばる(沖縄島北部地域)の亜熱帯雨林の世界自然遺産登録申請を行いました。

 桜井さんは「やんばるは『世界の奇跡』といえる豊かな生物多様性を持つ。環境NGO自身が、ずっと世界自然遺産申請するように訴えてきた」と指摘。

 「しかし、今回の申請はやんばるの山のみで海を切り離している。そして北部演習場と辺野古新基地建設に関して全く触れていない。これではユネスコが要求する『完全性』は確保されない」「世界自然遺産条約では、当該地域が複数の国におよぶ場合は、関係国が協議して自然環境保全を図ることを求めている。だから治外法権の北部演習場を持つアメリカ軍も当事者」「アメリカ軍は基地・演習場内における日本環境管理基準(JEGS)にもとづき、北部演習場の詳細な環境調査を行っている。そして北部演習場一部返還と高江のオスプレイパッド建設により、訓練範囲が狭い範囲に集中し、生物への悪影響が強まることを自らのレポートで認めている」と、日本政府の申請内容の問題点と米軍の当事者性を指摘しました。

 日本政府がやんばるの世界自然遺産登録に本気ならば、米軍と北部演習場の環境管理に関して交渉を行い、特にオスプレイ訓練の中止とヘリパッドの閉鎖を求めなければなりません。辺野古新基地建設を止めなければなりません。

世界の世論はジュゴン保護

 基地と訓練によるやんばるの環境破壊は進んでいます。高江ではノグチゲラが営巣する木が容赦なく切り倒されました。低空訓練するオスプレイの熱風は、森の植生に影響をあたえます。従来ヤンバルクイナは目撃されていなかった西側の大宜味村(おおぎみそん)で目撃例が増えています。生息地を追い出された可能性が高いのです。現在3頭個体確認されているジュゴンのうち「個体C」(ジュゴンのCちゃん)がこの2年間目撃されていません。大浦湾の餌場を追い出された影響が考えられます。

 現在、辺野古に海からの礫(れき)(石材)の搬入が始まり情勢は緊迫しています。しかし「勝つことはあきらめないこと」。ジュゴン訴訟控訴審においても、「原告適格」の差し戻し判決が下され、ジュゴンの保全策の有効性に関する実質審議がはじまります。世界の世論はジュゴン保護です。
 沖縄の未来は豊かな自然環境とともにある。「ジュゴンのCちゃんを探せ!」などの幅広いキャンペーンが大切、と桜井さんは熱く訴えられました。

  (SDCC 松島洋介)

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