2017年12月08日 1505号

【辺野古・宮古島の基地建設阻止 諦め狙う工事強行に屈しない 知事支え 許可撤回、承認撤回へ】

辺野古で新護岸工事開始

 11月6日、沖縄防衛局は辺野古新基地建設で新たに護岸2か所の造成に着手した。辺野古崎から南西の辺野古漁港側「K1護岸」と辺野古崎に近い「N5護岸」だ。N5護岸は、中央部に基礎捨石を積み、両側を被覆ブロックで固定する。大浦湾側とあわせ同時に3か所埋め立てが進んでいるように見せるためだ。県民や名護市民を諦めさせようと、投石開始の映像と「工事を進め普天間飛行場早期返還実現」という政府の宣伝を全国放送させる。マスコミには早くから告知していた。

 これまで辺野古の埋め立て用石材は、国頭(くにがみ)郡の採石場からダンプカーで搬送されていたが、工事関連業者が国頭村・奥港から海上搬送できるよう港湾使用を申請し、県は9月に認めていた。本部(もとぶ)港についても県に委任されている本部町が許可している。防衛局は、先に工事を進めていたK9護岸から石材を陸揚げすることを9月27日の環境監視等委員会で説明しており、明らかに新たな申請の必要な工程変更だ。

 県から中止を求められていたにもかかわらず11月14日、海上搬送を強行。ダンプカー150台分もの石材が搬入された。奥港にダンプカーを進入させないと市民数十名が腕を組み道路に寝ころんで阻止行動。海上では抗議船やカヌーが台船に近づき抗議した。

 11月23日、奥区は臨時総会を開催し、砕石海上搬送に使用される奥港の使用反対決議を全会一致で可決。糸満盛也区長は「これで心置きなく抗議行動に参加できる」と決意を語った。防衛局は中城(なかぐすく)港の使用申請も県に提出している。「あらゆる手段で阻止」とした翁長雄志(おながたけし)知事の公約にのっとり、使用許可撤回、埋め立て承認撤回が緊急に求められる。

宮古も住民無視で造成工事

 10月30日、宮古島・千代田カントリーで陸上自衛隊ミサイル配備基地準備工事が開始された。植えられていた琉球松並木が乱暴に切り倒された。

 早朝から9月に新たに結成された「ミサイル新基地いらない宮古島住民連絡会」など市民が工事作業ゲート前にかけつけた。工事関係者に「あなたたちは基地建設の工事をして完成したら帰ってしまうが、私たち宮古島の市民はこの基地と共存する生活をどう考えるか」と問いかけるも一切返事もなかった。工事ゲート前や隣接する県道交差点で、ノボリをかかげあくまでもミサイル基地建設反対と呼びかける闘いが新たに始まった。

 11月19日、防衛局はようやく野原(のばる)公民館で住民説明会を開催。2019年2月の駐屯地完成へ一日最大ダンプカー200台が往来、400名の作業員のために仮設住宅建設などと発表した。住民から賛成の声はなく、質問や疑念、心配の声とともに建設中止の意見もあがった。「地元の野原部落、千代田部落も反対。地元住民の人権はどうなるか」の質問にも防衛局は「人権のことはわかりません」と開き直った。翌20日には着工式を強行し、住民の抗議を踏みにじって造成工事を開始した。

 ミサイル基地建設は宮古島だけではない。2018年に奄美島、2020年石垣島で基地完成予定を目指し、地域住民の民意を一切無視して突き進んでいる。奄美、宮古、石垣の住民は、辺野古と連帯し、諦めることなくミサイル基地阻止へ闘い続けている。

飲酒運転、死亡事故に怒り

 11月19日午前5時、那覇市泊交差点で米海兵隊員が運転する米軍トラックと軽トラックが衝突し、那覇市の会社員が死亡する事故が発生した。右折矢印信号に従って曲がろうとした軽トラックに、米軍トラックが赤信号を無視し交差点に進入、衝突したという。米兵から基準値の3倍のアルコールが検出され、飲酒状態で米軍公用車を簡単に持ち出せる管理体制のずさんさも浮き彫りになった。今年の軍関係者の飲酒運転摘発は少なくとも16件。ひき逃げ、暴力、不法侵入事件も多発しており、県民の怒りが噴出した。

 20日、在沖米軍のトップ、ローレンス・ニコルソン四軍調整官は翁長知事に面会し、謝罪。在日米軍人に外出禁止令、酒の購入や飲酒を全面的に禁止と発表したが、毎週のように繰り返される米兵の飲酒事故・事件に、知事も「もう勘弁してくれ」というほかなかった。だが、その規制もわずか3日後には緩和された。

 「基地の県内移設に反対する県民会議」は22日、在沖米軍司令部があるキャンプ瑞慶覧(ずけらん)の石平(いしんだ)ゲート前で緊急抗議集会を開いた。参加者は犠牲となった男性を追悼し黙祷、シュプレヒコールで抗議した。山城博治共同代表は「言葉だけの綱紀粛正や再発防止、どうやって責任をとるのか」と批判。「基地撤去、基地拡大を止める活動を続ける。悲しみを越え、怒りを持って米軍基地に対峙していこう」と訴えた。(H)



 
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