2017年12月08日 1505号

【元米兵がスピーキングツアー/国を危険にさらす リーダーは降りよ/VFPジャパン】

 VFP(ベテランズ・フォー・ピース=平和を求める元軍人の会)ジャパンが協力して東京を皮切りに全国11か所で元米兵のスピーキングツアーが行われている。11月25日、早稲田大学で開かれた東京集会では、実戦経験のある元海兵隊特殊偵察部隊のマイク・ヘインズさんが訴えた。

 VFPは1985年、アメリカで元軍人・家族らによりつくられた。世界に120支部、約8000人の会員を有し、映画監督オリバー・ストーンさんや音楽家オノ・ヨーコさんらも加わっている。VFPジャパンは戦争法反対の闘いをきっかけとして今年6月、元陸上自衛隊レンジャー隊員の井筒高雄さんらが結成した。

 マイクさんは冒頭、広島・長崎の原爆投下、本土空襲、米海兵隊による沖縄での人権蹂躙を謝罪し、犠牲者に黙祷を捧げた。

 スピーチで強調したのは軍国教育の恐ろしさ。米国民が軍隊に志願する理由は「貧乏」か「愛国心」からで、マイクさんは「国のために命を落とすのは名誉なこと」と思って志願したという。戦争ごっこ、戦争漫画や戦争映画の影響の上に、高校では軍の勧誘でかっこいい制服姿を見せられ、“ただで教育を受けられる”“海外旅行ができ、給料までもらえる”とアピールされる。9・11以降は特に「愛国心」の気運が政府やメディアによって高められ、国粋主義へと発展し、“アメリカが一番”と純化していく。「私はテロリストを捕まえ、大量破壊兵器を見つけ出そうと、(崇高な目的で)イラク戦争に参加した」

退役後もPTSD

 イラクでは、特殊部隊にいたマイクさんは日に2〜4回、各家庭のドアを爆破し蹴飛ばして突入、動くものは何でも撃つと銃を構えた。キャーと叫んで失禁する子どもたち、大人たちを壁に並ばせる。若い男性は外へ連れ出し、尋問という名の拷問を加えた。「自分のやっていることはテロ行為ではないのか」。疑問を抱くようになった。

 退役後もPTSD(心的外傷後ストレス障害)が残る。「ビルから撃たれるのでは、と高いビルの間を車で走れない。戦地と同じにおいや音がすると思い出す。子どもの叫び声、花火が戦地と重なる。10月は帰還した戦友が自殺した月なので苦しい」。マイクさんは、苦い体験を語ることで平和な社会の建設につなげられる、と活動を続ける。

 「北朝鮮問題」をめぐる日米首脳の発言に神経をとがらせた。「(来日した際の)トランプ発言で、余計に緊張を高めることになった。核戦争になれば勝者はなく、全員が敗者。あくまで対話を通した外交をめざすのが筋だ。今の流れに乗っていくと、みなさんの子どもたちが命を落とす危険を感じる。国のリーダーが国を危険にさらそうとするなら、彼らをリーダーの地位から降ろさなければならない」

ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS