2017年12月08日 1505号

【TVの世界10 ZENKO行動で省庁取材=z

 私は、ジャーナリストの基本は事実に基づいて論評することだと確信している。11月13日、私はZENKO主催の中央行動に参加した。緊迫化する朝鮮半島情勢下での中央行動ということで外務省へ向かった。久しぶりの中央省庁への取材≠ノ胸は高まる。

 安倍政権が危機を煽り国民に「北朝鮮は怖い」との意識を植え付けようとしている状況下で、外務省の担当者はどのような姿勢で外交を捉えているのか? 私は冷静に質問した。応対したアジア大洋州局北東アジア課の担当者は、非常に真面目な態度で私の質問に答えてくれた。前回、南スーダンPKO派遣問題で交渉した時は木で鼻をくくったような紋切り型の答弁に終始していたので、外務省の若きエリートの良心的で真摯な姿勢に好感と安堵感を覚えた。

 安倍首相は朝鮮との対話を拒否して「圧力」一辺倒の姿勢を打ち出し、先制攻撃も辞さない米トランプ大統領に対して「100%の支持」を表明している。こうした中で外務省は朝鮮に対してどのような対話、交渉をしているのか? それが最も知りたい点だ。「日朝平壌宣言以降、外務省はどのような交渉を行ってきたか?」との私の質問に対して、10月20日ロシアでの国際会議で金杉アジア大洋州局長が朝鮮の担当局長(女性)に接触して日本の立場を伝えたこと。今後も国際会議の場で自然な形で出会い交渉していくこと。日本政府は、朝鮮総連(在日本朝鮮人総聯合会)をチャンネルとして接触していること。日朝平壌宣言は生きており、6か国協議が再開する可能性があること―などの回答があった。

 さらに、韓国の外務省とは「仲がよく風通しが良い」とのべ、緊密な意思疎通が図られていること。トランプ大統領は過激な発言をするが、米国務省は対話路線であるとの認識を示し、朝鮮への先制攻撃を日本としては賛成できないとの外務省として立場を明らかにした。

 外務省の担当者からこうした回答が得られたことは大きな成果であり、外務省が安倍政権の朝鮮敵視政策に同調していない側面があることをしっかりと見ておく必要があると感じた。安倍政権が戦争国家づくりを進める上で、従来通りリベラルな外交姿勢を持つ外務省が邪魔な存在になっているとすれば、広範な市民の運動で外務省を味方に引きつけて多数派を形成していくことは可能だと思う。

 私は市民運動が現実の政治を動かしていることを実感した。京都市政改革の活動にこの経験を活かしたいと思う。

(フリージャーナリスト)
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