2017年12月15日 1506号

【アジアはともだち!子どもコンサート 平和な未来へ子どもたちが発信】

 13回を数える「アジアはともだち!子どもコンサート」。11月25日大阪、26日横浜で、沖縄県読谷村(よみたんそん)、朝鮮学校の子らとともに、平和な未来へと子どもたちが発信するコンサートとして成功を収めた。

みんなが笑顔になる世界に 横浜

 8月にコンサート実行委員会を立ち上げました。実行委員長は中学2年のSさん。チラシに掲載するあいさつ文で「いま、世界を騒がせているミサイル問題。テレビでよくこのニュースを見るようになり、日々過ごすのに不安を抱くようになりました。ミサイルのことを考えると笑顔が消えてしまったりするのをなくしたいと思い、テーマを『叶(かな)えよう!みんなが笑顔になる世界』にしました。笑顔が日常から消えないように、一人一人の願いが叶うように、このテーマの重みをコンサートを通して考えていきたいと思います」とコンサートのテーマを提案しました。

 子どもたちの眼にも「戦争」が身近な恐怖として映っていることを強く感じます。実行委員会では、皆で朝鮮半島が南北に分断された歴史などを学び、私たちはどう考えればよいのかと投げかけてきました。子どもたちは「みんなが笑顔になる世界!」にしたいとのこと。福島から東京に母子避難し、子ども全交にも参加する小学4年の二瓶凛さんは、大きな木にみんなの笑顔がいっぱいに咲き誇る絵をコンサートチラシのイラストとして描いてきました。

 10月に朝鮮学校のフェスタに出演訪問。11月には沖縄伊江島「命(ヌチ)ドゥ宝(タカラ)の家」を訪ね、館長謝花悦子さんの「戦争はとめられる。学ぶことが大切」とのお話を聞きました。

『平和な世界』を皆で

 コンサートでは、沖縄で学んだ「戦争は絶対にやってはいけない」という想いを発表。7月にフィリピンの音楽家ポール・ガランさんと一緒に歌った『平和な世界』を皆で歌いたいという子どもたちの希望で、沖縄、朝鮮学校、子ども全交がステージに並び、全員で合唱しました。

 最後のあいさつで実行委員長のSさんは「みなさん、今日のコンサートで笑顔になれましたか? 私たちは今日のコンサートまでに、沖縄ツアーに参加したり、朝鮮学校に行ったりしてたくさんのことを学んできました。今ある問題を、会場の皆さんにもあらためて知ってもらいたいと思いました。たくさんの笑顔が消えないように、そして、この世の中がたくさんの笑顔であふれるように、私たちはコンサートで感じたことを胸に、これからも頑張っていきたいと思います」と締めくくってくれました。

 フィナーレの『沖縄ラティーナ』では、会場いっぱいに笑顔があふれ、コンサートを終了しました。ミサイル問題を口実に戦争へと突き進もうとするおろかな大人たちに対し、お互いを尊重し合う笑顔こそが戦争をなくす大切な道であると、子どもたちが示してくれたコンサートでした。
(子ども全交関東 河辺邦夫)

響きあった朝鮮学校の子の言葉 大阪

 大阪会場では、「アンニョン、日本の友だちのみなさん。仲よくしようね」と呼びかける韓国・京畿道(キョンギド)の子どもたちからのビデオメッセージが流れました。この映像参加をきっかけに、近いうちに韓国の子どもたちのコンサート参加も期待できそうです。

 朝鮮初級学校舞踊部の生徒は、学校行事の合間を縫って駆けつけてくれました。「私たちは、ひいおじいさんやひいおばあさんが日本に渡ってきた在日4世です。日本学校のみなさんと変わらない生活を送っています」。アピールの中で朝鮮高校無償化除外裁判の勝利報告がされると、会場から拍手が起こりました。後で校長先生から「子どもたちが拍手にびっくりし、応援してくれる人たちがいるんだと言っていた」と聞きました。先のビデオメッセージを持って久しぶりにコンサートに来日した韓国の先生が、朝鮮学校にリコーダーを贈るうれしいプレゼントもありました。

 沖縄の子、朝鮮学校の子、そして先月沖縄に行って戦争の犠牲になった子どもたちのことを胸に刻んだ子ども全交のリーダーたちのメッセージをじかに聞き、一生懸命の演技を間近で見る。「上手だな」「笑顔が素敵だな」「カッコいい」。一緒に舞台で歌い、踊り、弾けたフィナーレ。こうした交流、共有が大事なことなんだと、コンサートの意義を改めて思いました。集まる子どもは小さな子が多いのですが、今度の「コンサートお疲れさん会」では、親子で「アジアはともだち!」を振り返り、深めたいと思います。

(子ども全交関西 松昌子)



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