2017年12月15日 1506号

【北海道の鉄道再生へ 動き出した全道連絡会 地域からオール北海道の動きも】

 JR北海道が、全営業キロの半分に当たる10路線13線区を自社単独では維持困難と発表してから1年。10月28日の設立総会で結成された「北海道の鉄道の再生と地域の発展をめざす全道連絡会」(以下「連絡会」)が札幌市で第1回運営会議を開催。北海道の鉄路維持に向けて活動をスタートさせた。

 運営会議では、(1)加入資格を個人会員、協力会員(各地の守る会、労働組合・団体)、後援会員(自治体等)、協賛会員(政党・議員グループ)とし、活動は個人会員中心とする(2)設立総会で設置を決めた世話人会を運営会議に改称、事務局を置く(3)運営会議はオール北海道となるよう各地域の個人、協力会員を中心とし、決定は合議により行う(4)運営資金は当面、寄付金等でまかなう―ことを決定。設立総会で採択した方針を基に、連絡会設立を呼びかけた学者グループが今後作成するアピール文によって会員拡大や署名、JR北海道・道庁交渉、自治体決議を目指す方針を確認した。

 広い北海道で、13線区沿線が抱える地域事情はそれぞれ異なる。JR北海道はそれを根拠に線区ごとの分断を画策するが、応じれば廃線の流れが強まる。各地域の特性を尊重しながら、まとまるべき場面ではどのように全道が団結して行動するか。今後の連絡会の役割は大きい。

各地域で動き活発化

 連絡会結成と前後して、各地域で鉄路維持を目指す動きが活発化している。2015年1月の高波災害で運休となってから年明けで3年を迎える日高本線沿線の日高町で11月24日に行われた講演会(JR日高線を守る会主催)には100人が参加。安全問題研究会が「被災していない鵡川(むかわ)〜日高門別間まで運休にしているのはJRの怠慢。運行再開には信号設備改修費として6千万円かかるというJRの説明は間違っており、追加経費をかけず直ちに運行再開が可能」と指摘。バスやトラックの深刻な運転手不足や、全列車キロの半分以上を貨物列車が占める北海道の現状から貨物輸送にもっと鉄道を活用すべきと訴えた。

 同じ日高本線沿線の新ひだか町では11月30日に「日高の未来を考えるフォーラム」(日高線の未来を考える会主催)が開催され200人が参加。鉄道を活かした観光振興を中心にパネリストが意見を交わした。このフォーラムは地元の中小企業経営者ら保守勢力も運営に参加しており、注目すべき動きだ。

 石北本線沿線の北見市でもシンポジウムが開催。資金不足を理由に協議を急ごうとする島田修JR北海道社長に対し、路線維持を求める地元市民団体事務局長が、沿線の声を聞き丁寧に協議を進めるよう求めた。

 路線廃止前提の拙速な協議にならないよう、今後もJR北海道をしっかり監視することが必要だ。
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