2017年12月22日 1507号

【1507号主張 今、軍事攻撃するな!の声を 戦争のための改憲許すな】

先制攻撃へミサイル導入

 安倍政権は、憲法改正発議さえ行わずして憲法9条・平和主義破壊に踏み出そうとしている。航空自衛隊への長距離巡航ミサイルの導入だ。小野寺防衛相は12月8日、ミサイル導入関連経費を2018年度予算に追加要求すると正式発表した。ミサイルの最大射程は900qを超える。日本海上空から朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)への直接攻撃を可能とする決定的な軍事挑発だ。最新鋭ステルス戦闘機F35やF15に搭載すれば中国やロシアまで射程内に入り、東アジアの軍事緊張を高める新たな火種となる。

 小野寺防衛相は「防衛のためで敵基地攻撃を目的としたものではない」と言い訳したがまったくのうそだ。戦後初の本格的敵基地攻撃能力の保有であり、他国に対する自衛隊による先制攻撃を可能とするものだ。安倍政権は、朝鮮半島危機をあおって何の論議もないまま新たな兵器導入の既成事実をつくり、「戦争する国」への大転換を行おうとしているのである。

自衛隊明記は戦争のため

 憲法9条は「戦争の放棄」「戦力の不保持・交戦権の否認」を明確に謳(うた)い、歴代自民党政権も自衛隊に「専守防衛の原則」を課さざるをえなかった。政府は「自衛目的なら敵基地攻撃能力の保有は憲法上可能」としながらも、「専守防衛」を上回る戦力は保有しないとして、敵地攻撃能力を持つ兵器導入を進めることはできなかった。

 しかし、安倍は9条への自衛隊明記でこうした制約を取り払うことを狙う。戦争法成立により、憲法違反の集団的自衛権行使、他国での武力行使を可能とした。その上、先制攻撃能力の保持だ。

 自衛隊を憲法に明記するとは、集団的自衛権行使を憲法上認め、様々な制約となっている9条を完全に死文化することを意味する。それは、グローバル資本のさらなる海外権益獲得のために、世界中で無制限に武力行使し戦争ができる軍隊へと自衛隊を脱皮させるものに他ならない。そのための9条改憲だ。

戦争するな!の行動を

 トランプ大統領による朝鮮のテロ支援国家再指定と朝鮮によるミサイル発射など、東アジア情勢は一層緊迫している。マクマスター大統領補佐官は12月2日、「(軍事攻撃の可能性について)日々高まっている」と述べ、4〜8日にはB1B戦略爆撃機など230機を朝鮮国境まで飛ばし、過去最大規模の米韓合同軍事演習(精密爆撃訓練)が実施された。朝鮮は「核戦争の火種を爆発させる引き金」(12/3)と強く反発している。

 軍事挑発は新たな挑発行為を作りだし、戦争への危機を深化させる。戦争屋トランプ政権は、国連のフェルトマン事務次長訪朝さえも、国連が説得しても核開発をやめない≠ニ、朝鮮への軍事攻撃の口実としかねない。 

 かつてイラク戦争開戦の時、「始まる前に止めよう!」と全世界の人びとが声をあげ行動した。戦争で命を奪われるのは、トランプや安倍ではない。朝鮮、韓国、そして基地の集中する沖縄の人びとをはじめ日本の市民だ。今、対話による平和的解決を求め行動しよう。9条改憲NO!3000万署名を広げ、改憲発議を許さず安倍政権を退陣させよう。

       (12月11日)
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