2017年12月22日 1507号

【議会を変える 大阪府枚方(ひらかた)市議・手塚たかひろ 朝鮮学校への補助金は復活すべき】

 安倍首相は、先の衆議院選挙で教育の無償化を打ち出したが、すでに無償化の方針は大きく後退している。

 維新は大阪では無償化を実現した。さらに憲法に教育無償化を謳(うた)って、無償化を義務付ける憲法「改正」を行う≠ニ主張している。これが嘘であることは、大阪府・市が朝鮮高級学校への補助金を2011年度から不交付とし、教育に政治的主張を持ち込み、朝鮮学校生を差別していることで明らかだ。

 枚方市は、1992年3月に「枚方市在日外国人教育に関する補助金要綱」を制定し、城北朝鮮初級学校へ毎年30万円の補助金を支給していた。2017年3月補助要綱そのものを廃止。理由は「文科大臣から『朝鮮学校に係る補助金交付に関する留意点についての通知』があり、社会情勢を鑑み補助金見直しの一環」とのこと。

 国は、朝鮮学校への補助金廃止を求めているが、通知文で廃止を義務付けているわけではない。補助制度継続に国からのペナルティはない。国の朝鮮敵視政策を忖度(そんたく)し、削りやすいところからの補助金カット=「行革の実績づくり」のために行ったとしか考えられない。少数者への思いやりがなく、子どもたちの教育権を守る、民族としての誇りを尊重するなど当たり前のことを否定する政治。人権感覚の欠如が顕著だ。大阪府下では、かなりの自治体が補助制度を継続している。枚方維新市政の突出ぶりが目立つ。

 補助金要綱制定の起案では「(1)国や府からの援助がほとんどない(2)保護者は、納税をし、学校の経費の大部分を負担している(3)日本に在住することになった歴史的経過がある(4)義務教育に準ずる教育を行っている外国人の子どもに広く教育の機会を確保する必要がある(5)「国際化」への教育に関わり、各市町村で外国人児童生徒への教育施策の充実が求められている(6)保護者や子どもたちが日本社会において民族の伝統と文化を保持したいという考え方を尊重したい」など、格調高く補助金の必要性が書かれていた。この視点を大事にしたい。

 私は、6月議会で、要綱廃止反対の質問と補助金復活の意見を述べた。

 城北朝鮮学校の建物は古く狭い。教育環境は悪い。公的補助が必要だ。枚方からは9人の子どもが通学している。すべての子どもたちの教育保障、環境整備は行政の責任だ。

 年間30万円の補助金、少なすぎる額だが、廃止の意味は30万円にとどまらない。多文化共生教育解体の象徴だ。誰もが自らのアイデンティティを尊重され共に育つ教育再生を目指し、声を上げ続ける。 
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