2017年12月22日 1507号

【響きあう「決して諦めない」/平和・軍縮のためのZENKOスピーキングツアー始まる/沖縄と韓国に共通する弾圧との闘い】

 沖縄と韓国をむすぶ平和・軍縮のためのZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)スピーキングツアーが12月10日、沖縄戦跡・軍事基地フィールドワークでスタートした。東アジアの軍事緊張が続く中、「戦争挑発行為を許さず、市民の連帯で平和を築こう」と日韓市民による共同声明運動を提起する。沖縄(12/11)、広島(12/14)、東京(12/16)、大阪(12/17)4会場の集会参加者一同の名で発信する。

沖縄反基地の闘い

 沖縄集会は11日、那覇市で開催され、辺野古、高江、宮古島の闘いが報告された。

 沖縄平和市民連絡会の上間芳子さんは、この日の辺野古の状況から話を始めた。「1回目100台、2回目は80台、3回目は不明だが、毎日250台から280台のトラックがキャンプ・シュワブに入る」。1日3回、工事車両を止めるために市民が行動する。その都度、機動隊との攻防がある。体力、気力との闘いでもある。最近はマイクを持った司会者が真っ先に排除される。集会さえさせないためだ。

 上間さんは、かつてない弾圧のもとで進む基地建設は米軍のためだけではなく、将来的には自衛隊の基地となるからだと指摘した。「辺野古新基地をとめない限り、アジア民衆との連帯はない」「名護市長選勝利なくして、知事選の勝利はない」と結んだ。

 中国をにらむ自衛隊レーダー基地がある宮古島での新たなミサイル基地、弾薬庫建設に反対する当真まり子さんは、市民の手で宮古島の未来をつくる「宮古島市民会議」の事務局長代理を務める。「軍事施設は攻撃目標になる。平和が最大の福祉」と語った。

 東村(ひがしそん)高江の「ヘリパッドいらない」住民の会・儀保昇さんは、米軍に引き渡されたヘリパッドは手直し工事が必要な不完全なものと強調。「すべてのヘリパッド、北部訓練場を撤去するまで運動を続ける。それぞれの場所で力を出し切れば、いつか基地は撤去できる」と決意を表明した。

韓国の反基地運動

 軍縮平和日韓共同行動のユ・ミヒさんとビョン・ヒョンジュさんは、韓国内の反基地、反原発の闘いと現地の活動家のインタビューを映像で紹介。「ペ・ポンギ ハルモニ(おばあさん)の歌」も歌った。ペ・ポンギさんは、日本軍「慰安婦」であったことを初めて自ら明らかにした女性で、沖縄で亡くなっている。

 超高圧送電塔の建設に反対する慶尚南道(キョンサンナムド)・蜜陽(ミリャン)の住民は12年間闘い続けている。新古里(コリ)原発から首都圏へ送られる765`ボルトの超高圧電流が電磁波と騒音の被害を引き起こすからだ。大弾圧を受け、3年前塔は建設された。この住民運動と福島原発事故が韓国での反原発運動を全国に広げた。「次の世代に美しい自然と平和な地域を残すためにファイティング」。沖縄への連帯のメッセージだ。

 済州(チェジュ)島江汀(カンジョン)では海軍基地反対闘争が10年続いている。米軍の対中国前進基地として建設された。今も軍艦を監視し、軍事訓練への抗議行動に取り組んでいる。星州(ソンジュ)では高高度ミサイルTHAAD(サード)配備反対闘争があった。今年4月、静かな田舎町に8千人の警察官が送り込まれ大弾圧。極右団体が「サード反対」の横断幕を引きちぎり「大韓民国の敵。韓米同盟を強化しよう」と叫んだ。全国各地で弾圧がある。「サードを抜いて平和を植えよう」を合言葉に闘いは続いている。日本へのメッセージには、海外派兵を狙う安倍政権に対し「地球から出ていけ」とあった。

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 約60人の参加で会場は満席。当日の新聞で知り参加した人は「韓国での米軍との闘いが沖縄ととてもよく似ている」と感想を記す。「辺野古基地ができれば東アジアの平和はない」のことばが印象に残った人もいた。共同声明に「基地のあるところ、軍隊がいるところが戦場になる」と沖縄戦の教訓の追記を望む声があった。日本の植民地にされた朝鮮と捨て石にされた沖縄は、歴史的にも共通項が多い。そして現在、「諦めない闘い」が平和な世界の建設につながることをともに示している。






 12月10日は「世界人権デー」。国連人権理事会が106か国218項目の勧告を日本政府に出したことを受け、東京・渋谷では200人がヘイトスピーチや朝鮮学校「無償化」排除、日本軍「慰安婦」被害者、沖縄基地押し付け、原発事故避難者などの問題を掲げて集い、「国連・人権勧告の実現を」と訴えた。
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