2017年12月22日 1507号

【住宅提供打ち切り問題で政府交渉/穴だらけの支援策に口つぐむ国】

 区域外避難者への住宅提供打ち切り問題などをめぐる政府交渉が12月1日、衆院第一議員会館で行われた。主催は「原発事故被害者の救済を求める全国運動」。厚生労働省、復興庁らが出席したが、国の無責任ぶりが際立った。交渉参加者は打ち切り後の避難者の生活実態の把握と新たな支援策の実施を強く求めた。

 山形県米沢市の雇用促進住宅に住む避難者に対する明け渡し訴訟について「強制的な立ち退きは違法。復興大臣答弁にも反する」と抗議し、被告とされた人びとの生活実態を訴えた。国は「(提訴に至るまでに)戸別訪問などして丁寧に対応してきたと聞いている。訴訟は性急には行わないようにと(提訴した独立行政法人に)言ってきた」(厚労省)と傍観者のような態度だ。「母子家庭は平日の昼間に訪問されても不在で会えていない。そもそも、子育て世帯で生活に困窮している世帯だと知ってのことか」と問うと、「世帯構成までは知らない」(厚労省・復興庁)と開き直る一方、「契約すれば10年間入居継続可能であること、福島県の家賃補助が2年間受けられることを説明してきたはず」(復興庁)と、まるで退去の条件は十分に整っていたと言わんばかり。その支援策が穴だらけで、救われない多くのケースが出ていることには口をつぐんだ。

 国家公務員宿舎の2年間暫定入居期限切れ、福島県の2年間民間家賃補助終了、避難指示解除区域の住宅提供打ち切りが1年4か月後に集中する。新たな制度・法整備、支援策の抜本的な見直しを行わない限り、問題は拡大再生産される。
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