2017年12月29日 1508号

【京都で避難者の声を聞くつどい 避難の正当性改めて確認 署名広げ3月勝利判決へ】

 12月3日、原発賠償訴訟・京都原告団を支援する会主催による「改めて放射能汚染の実態を知り、避難者の声を聞くつどい」が開催され、約50人が参加した。

 このつどいは、10月10日に出された福島生業(なりわい)訴訟の判決で賠償の対象から外された地域(会津地方や福島県の近隣)も汚染されており、避難には「社会的相当性」があることを広く知ってもらおうと企画された。

 最初に支援する会の奥森祥陽事務局長が、生業訴訟判決を踏まえて京都訴訟で勝利判決をかちとるために、◇公正判決署名を広げる◇原告の手記集『私たちの決断』を広げる◇賠償訴訟の全国総決起集会―全国支援ネット結成(1/27)に参加する◇判決期日に総結集する、と方針を提案した。

 講演は、妻と子が京都に避難中で、自身は福島市に残りNPO法人「シャローム災害支援センター」に勤務する吉野裕之さん。吉野さんは大人よりも放射能感受性が高い子どもの目線での測定にこだわり、ホットスポットファインダーという測定器で地上10a、50a、1bの3つの高さで空間線量を測り続けている。同じ地点でも高さによって線量が違う、一本の道路でも舗装の仕方で線量が違う(目が粗く雨が浸み込みやすい舗装の所は線量が高い)、詳細な線量マップを作るとどこにホットスポットがあるかわかるので、具体的な対策(この道は通学路として通らない方がいいなど)を立てることができるなど、自らの実践で得た知見をわかりやすく話した。

汚染土壌は元に戻らない

 仙台市、北茨城市、いわき市からの避難者(原告)は、放射能の危険性をネットで調べプール掃除への児童の参加を中止するよう申し入れたが聞き入れてもらえなかった、家族が反対でも子どもの健康を考えると避難するしかないと決意するに至った、今でも葛藤はあるがいろいろな人に支えられて避難生活を送っている、避難元は今では空間線量は下がっているものの一度汚染された土壌は元に戻らないなど、口々に訴えた。

 京都訴訟弁護団事務局長の田辺保雄弁護士は、区域外避難者が多い関西での裁判の争点は「自主避難者」の避難の社会的相当性にあるとして、被災地の住民だけが公衆被ばく限度の1_シーベルト/年を超える高い線量を強いられるのは不当、土壌汚染も考慮されなければならないと語った。

 京都訴訟の判決は来年3月15日午前10時。原告団と支援する会は、公正判決署名3万筆への協力を広く訴えている。

 署名用紙は支援する会ホームページからダウンロード可能。

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