2017年12月29日 1508号

【みる…よむ…サナテレビ(466/2017年12月16日配信 イラク平和テレビ局in Japan/無駄な授業の追加をやめろ―イラク学生の声―】

 イラクの大学で政府当局が予告もなしに授業科目を増やした。しかし、実際に授業を受ける学生は納得していない。2017年10月、サナテレビはバグダッドの大学生にこの問題について聞いた。

 インタビュアーのサジャド・サリームさんによると、イラクの大学では「現代世界の発展に追いつくため」として急に大学のカリキュラムが変更されたという。もし、きちんとした科学的な根拠があるのなら、学生たちに説明がされるはずだ。実際に話を聞くと、様々な問題点が浮かび上がってくる。

 最初に登場する学生は、大学の授業が教授任せである点を批判する。本当に学生の役に立つ授業になっているのかという検討もしない。そんな中で一方的に進めているのだとしたら、こうした変更が「現代世界の発展」にどう結びつくのか、全く疑問だ。

 2人目の学生は「今回のカリキュラムの変更によって学生の負担が非常に増えている」と批判する。「ある科目の試験が不合格になると、合格した科目もあるのに全部の科目をもう一度勉強しなければならない」と言う。しかも、内容が理解できないカリキュラムがある一方、授業科目が合計5科目も増やされている。この学生は「学生には厳しく、マイナスの影響にしかなりません」と嘆く。

 コンピューター学科に在籍する女子学生も「特に重要性のない科目が増やされている」と指摘する。

 大学生たちが語る「カリキュラム変更」による混乱や負担増の原因は、大学の教育内容の決定や運営が民主主義とかけ離れた形で行われているからだろう。そのために様々な不合理や学生へのしわ寄せが次々に起こってしまうのだ。

 大学で受けなければならない授業科目を増加させるという政府の決定は、決定過程も非民主的だ。しかも、学生の専門分野と無関係なものがたくさん含まれ、負担ばかりが増えている。サナテレビは大学教育の現場と学生の声を無視した政府のやり口を明らかにし、これと闘って変えようと訴えている。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)



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