2018年01月19日 1510号

【1510号主張 朝鮮・韓国高官協議を支持する 戦争・改憲路線の対案だ】

対話解決へ大きな一歩

 朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)と韓国の高官級会談が1月9日に開催された。2015年12月以来、2年ぶりの高官協議では、平昌(ピョンチャン)オリンピックへの朝鮮代表団・選手団参加をはじめ軍事的緊張緩和に向けた軍当局者会談実施、南北問題の当事者による対話と交渉での解決などに合意。共同報道文が発表された。

 文在寅(ムンジェイン)韓国大統領は「南北会談を経て北朝鮮が五輪に参加することで、南北関係を発展させるチャンスにしたい」と語る。五輪期間中の米韓軍事演習延期はすでに決定され、トランプ米大統領も「米国側は100%、文大統領を支持している」と歓迎表明したように、明らかに対話への流れが動き出した。

 これは、現在の危機的な軍事的緊張の緩和に向けた極めて重要な前進だ。断固支持する。戦争ではなく平和的交渉での解決を求める国際世論に応え、韓国・朝鮮民衆の利益にかなう。この流れをいっそう強めることこそ重要だ。後戻りさせてはならない。

圧力強化に固執の安倍

 しかし、この期に及んでなお、圧力の維持・強化を主張し対話進展を妨害しているのが安倍政権だ。菅官房長官は南北会談当日も「あらゆる手段を講じて圧力をかけていく」と述べ、外務省も8日、韓国政府に「対北圧力緩和につながるような譲歩は認められないとの立場」を伝えた。

 マスメディアもおしなべて韓国政府に釘をさす論調を展開している。安倍政権の広告塔、読売新聞1月6日付社説は「『核戦力』を振りかざす北朝鮮の危険な姿勢に変わりはない。韓国は、日米との連携を乱さずに圧力を維持すべきだ」と主張する。朝日新聞5日付社説も「日米とともに事態打開を」「米韓の歩調を乱れさせようとの狙いが見える」として過大な評価は禁物と強調した。

 安倍政権が朝鮮・韓国の対話進展を警戒するのは、朝鮮半島危機の平和的解決を望まず、むしろ緊張をあおり朝鮮の脅威を宣伝、利用することで戦争路線を推進し、何より念願の改憲強行をもくろんでいるからだ。年頭記者会見で「今年こそ憲法のあるべき姿を示す」と改憲発議の意欲をあらわにする安倍は、戦争の危機を必要としている。

 東アジア民衆すべての脅威である安倍内閣を一刻も早く退陣させなければならない。

3000万署名とともに

 南北両政府が踏み出しつつある平和的交渉こそ安倍の戦争・改憲路線への対案だ。

 国連は先月のフェルトマン事務次長の朝鮮派遣に続き、ライチャーク国連総会議長が1月3日朝鮮国連大使と面会。グテレス国連事務総長も軍事的な解決に反対し、対話による解決を強調している。

 日本政府の圧力一辺倒の姿勢を改めさせ、日朝交渉や6か国協議の再開、核兵器禁止条約締結を求めよう。安倍9条改憲NO!3000万署名を地域で進める中で、戦争をさせないために圧力ではなく対話が必要、と広く訴えよう。安倍が常に口実に持ち出す朝鮮半島危機を平和的に解決することで、大軍拡も改憲策動も阻止することができる。

 憲法9条、核兵器禁止条約の力を生かし、市民の国際連帯で東アジアの平和を築き、非核化を実現させよう。

       (1月9日)
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