2018年01月19日 1510号【沖縄辺野古新基地建設阻止へ 「戦争国家づくり」と対決5000日 負けられない名護市長選】 |
攻撃型空母保有へ大転換安倍政権は、沖縄・南西諸島の「離島防衛」の名のもとに敵地攻撃能力の獲得へ一気に進みだした。まずは、９００㌔の射程圏を持つ長距離巡航ミサイルを那覇航空自衛隊のＦ15イーグル戦闘機に装備。朝鮮半島をはじめ中国の上海まで射程範囲に含まれる。さらに海上自衛隊のヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」を空母に改修。これにステルス機能を持つ最新鋭の垂直離着陸戦闘機Ｆ35ライトニングＢを搭載する。尖閣諸島など滑走路がない島嶼（しょ）において離島防衛に対応すると言うが、攻撃型兵器であることは間違いない。 「いずも」は、艦首から艦尾まで全長２４８メートル。全通甲板の仕様で空母型と言われてきた。これまでの政府・防衛省の見解では「専守防衛」のため空母は所有できないはずだった。それを本格的空母に改修する。そして辺野古新基地で建設予定の護岸は２７２メートルだ。将来、「空母いずも」が新基地に接岸され、Ｆ35やオスプレイに辺野古弾薬庫から弾薬や物資を搭載して海外派兵へというシナリオが見えてくる。 米軍岩国基地では、海兵隊のＦ35Ｂが離発着訓練を日常的に繰り返し、沖縄の米軍伊江島補助飛行場では耐熱加工処理したＬＨＤデッキへの滑走路改修工事が始まっている。高熱風を噴出するオスプレイやＦ35の発着に必要なものだ。「いずも」の空母への改修工事はこのＬＨＤデッキ対応となる。全国の米軍基地では、自衛隊との訓練―共同使用が日常的に行われ、日米軍事一体化が強まっている。 憲法９条の制約で政府自身が建前としてきた「専守防衛」は空文化され、改憲手続き前から「防衛」目的から攻撃型仕様への自衛隊装備の転換が始まった。戦争国家づくりをただちにストップさせることが緊急に求められる。 座り込んだ市民のべ50万昨年12月26日で辺野古座り込みは５０００日を迎えた。米軍キャンプ・シュワブゲート前では、記念集会が開催され市民約５００人が結集した。２００４年４月19日未明午前５時、沖縄防衛施設局（当時）が、新基地建設に向けたボーリング調査の作業ヤードを辺野古漁港の空き地に設置する工事のために、作業員もあわせ約１００人を送り込んできた。それを知った市民らが急きょ辺野古漁港に集まり工事を止めたのが座り込みの始まりだ。漁港横にテントを張り建設を止め続けてきた。 それから14年を迎えようとしている。３年前からは、キャンプ・シュワブゲート前のテント村が拠点となって阻止行動を続けている。連日、国内外から市民が辺野古テント村に結集し、その数は累計50万人以上。辺野古の闘いは、世界中で闘われる反基地闘争のシンボルとなった。 記念集会ではヘリ基地反対協の安次富（あしとみ）浩共同代表や、沖縄平和運動センターの山城博治議長、衆参の国会議員らがあいさつ。稲嶺進名護市長も駆けつけ、「状況は20年前と比べ悪化している。今が正念場だ」と訴え、「新基地計画を白紙撤回させ、平和で自然豊かな沖縄の未来を私たちの手でつくっていこう」と宣言するアピール文を全員で採択した。 建設阻む稲嶺市政１月28日告示、２月４日投開票の名護市長選挙は、辺野古新基地建設を阻止できるかどうかの最大のヤマ場となる。稲嶺進現名護市長は「海にも陸にも新基地は造らせない」と公約し、３期目の選挙戦に挑む。辺野古新基地建設を阻止し続けてきたのも、翁長雄志（おながたけし）知事を先頭に辺野古阻止のオール沖縄会議が発足したのも、８年前に初めて名護市に新基地反対の稲嶺市政を誕生させたことに始まる。現在、４本の護岸工事が始まり辺野古埋め立て工事は進んでいるように報道されるが、国による本格工事の目途は立っていない。工事を進めるために欠かせない名護市長からの多くの許認可を得ていないからだ。作業ヤードの設置、美謝（みじゃ）川の河川切り替え、辺野古ダムのベルトコンベアー設置等々。 それだけに安倍政権は何としても市長の座の奪取をもくろむ。ありとあらゆる方法を駆使し、豊富な資金で稲嶺市長を狙い撃ちしてくる。すでに12月29日には菅義偉（よしひで）官房長官が名護市に入り、１月４日から二階俊博自民党幹事長、塩谷立（しおのやりゅう）選対委員長が沖縄入り。告示日28日には小泉進次郎自民党筆頭副幹事長が名護市に入る。政府は基地交付金（名護振興）１億２千万円を沖縄県や名護市を飛び越え、地元の久辺３区（久志、豊原、辺野古）に直接支払うなど信じがたい手法を使う。カネで一部の名護市民の心を買収しようというのだ。４年前は自主投票だった公明党も今回は基地容認派候補の推薦を決定した。 負けられない闘いが名護市長選だ。全国から支援・連帯が求められる。 （Ｎ）   |