2018年02月02日 1512号
(実発行日 1月26日)

【1512号主張 第196通常国会の焦点 戦争と改憲発議を止める】

「改憲実現の時」と安倍

 1月22日、通常国会が始まった。安倍首相は自民党両院議員総会で「(憲法改正は)いよいよ実現の時」と強調。施政方針演説で「各党が憲法の具体的な案を国会に持ち寄り、前に進めることを期待」と、会期中にも9条改憲を柱とする発議を狙う。二階幹事長は発議を1年以内としている。戦後初めて国会で改憲発議が最大焦点となる。

 戦争のための改憲策動と一体の動きとして、2018年度予算では、過去最大となる5兆1991億円の軍事費を計上。一方、ひとり親世帯の生活保護費削減など社会保障費を削減する。労働分野では、残業代ゼロ・裁量労働拡大への「働き方改革推進法案」=ドレイ化促進法案が提出されようとしている。

 しかし、改憲策動は支持されていない。共同通信世論調査(1/13〜1/14)では、安倍首相の下での改憲反対は54・8%を占める。世論を前に公明、維新、希望ら改憲勢力も改憲発議を容易に口にできない。

 生存権を奪う社会保障費削減やドレイ化促進法には反対の声が広がる。戦争のための憲法改悪ではなく、憲法の理念を実現していくことが何より求められている。

平和交渉が9条の道

 朝鮮半島では、日米両政府などによる戦争挑発で緊張が高まっていたが、1月9日の南北閣僚級会合は重要な転換点となった。そこでは以下三点が合意された。朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)は平昌(ピョンチャン)五輪・パラリンピックに選手団、応援団などを派遣する。軍事的な緊張緩和のため軍事当局者会談を開催する。あらゆる南北問題を当事者である南北が対話と交渉を通じ解決する。国連のグテレス事務総長は合意を歓迎した。中ロ政府や、米トランプ大統領も支持し、韓国・朝鮮民衆をはじめ国際世論はこぞってこの動きを歓迎している。

 ところが、安倍は18日の豪首相との会談において、朝鮮情勢は「むしろ悪化している」とまで発言した。緊張緩和への努力が続く国際的流れに逆行し、危機と緊張をあおる姿勢は異様だ。強硬な姿勢をとるのは、朝鮮の脅威を憲法改悪の口実にするためだ。

 南北対話の継続は、核・ミサイル問題の平和的解決にとって不可欠だ。また、軍縮・対話を重視する声は世界的趨勢(すうせい)になりつつある。世界の反核・平和運動の力で実現した核兵器禁止条約は、その象徴だ。同条約は核兵器を違法とし、製造、保持、核による威嚇も禁止している。日本政府は、直ちに条約に加わり、東アジアの非核化を率先して進め、日朝・米朝対話、6か国協議再開に力を尽くすべきだ。この対話と平和解決こそ、戦力不保持を定め、武力による威嚇をも禁じた憲法9条の示す内容そのものだ。安倍の戦争路線の要である9条改憲を阻止する展望でもある。

署名広げ改憲阻止

 9条改憲阻止に向けて重要なのは市民による運動だ。3000万署名を地域で広げ、多くの人と対話しよう。今必要なのは朝鮮半島の緊張をあおるのではなく対話を継続すること、戦争・改憲ではなく憲法に示された理念を実現していくことだ、と伝えよう。

 署名運動の力で9条改憲反対の圧倒的な世論をつくりあげ、改憲発議阻止、安倍政権打倒へと進もう。

       (1月22日)
ホームページに戻る
Copyright Weekly MDS