2018年02月02日 1512号

【普天間でも辺野古、宮古でも 命を顧みない日米政府 名護市長選 稲嶺勝利へ】

 年が明けても、沖縄の空の危険性は全く何も変わらない。むしろ危険は増すばかりだ。

 1月6日、うるま市与那城の伊計島海岸に米軍普天間基地所属のUH1ヘリコプターが不時着。住宅との距離は50bほどだ。直後の8日には、読谷村(よみたんそん)儀間の廃棄物最終処分場内に同じくAH1Z攻撃ヘリが不時着した。近くには観光ホテルもあり、住宅地から200〜300bだった。

 いずれの事故も一歩間違えれば大惨事だ。ここまで頻発する事態は異常というほかない。読谷村の知花徳栄村議は「私たちにとって北朝鮮よりも米軍の方が脅威だ」と日米両政府を批判した。

避難訓練の日に上空飛行

 昨年12月、宜野湾(ぎのわん)市の緑ヶ丘保育園や普天間第二小学校での米軍機落下物事故から1か月。今、事故の影響は様々なところに及び、児童の中には精神的不安や体調不良を抱える子も出ている。普天間第二小の運動場は使用を中止したままだ。学校側や保護者が求める「学校上空を絶対飛ばない」とは米軍が回答しなかったためだ。「1か月も運動場を使用できないなんてありえない」と保護者は憤る。

 1月18日午前、普天間第二小では、米軍機が学校上空に接近した場合を想定し避難訓練が実施された。市教育委員会関係者も「まるで戦時中のようだ」と語った。ところが、同日午後には、普天間所属のヘリ3機が同校上空を飛行。防衛局設置のカメラなどにも映し出された。事故後米軍が「最大限可能な限り避ける」と約束したことがいとも簡単に破られた。



 小野寺五典防衛相は米軍に素早く抗議するポーズを示したが、「申し入れ」程度だ。飛行停止を求めることはなかった。米軍はカメラ映像という明らかな証拠があるにもかかわらず、「普天間第二小学校を飛んだヘリはなかった」と飛行事実をも否定。あまりにも不誠実な態度に「なぜそこまで否定するのか」と保護者からは怒りの声が上がった。ひとたび基地が造られれば、軍事優先で住民の生活など守られない。

 一方、緑ヶ丘保育園の父母会は飛行停止を求める署名を15日までに約5万5千筆集めた。16日からは宜野湾市役所玄関先で署名活動を始めた。父母会の宮城智子会長は「応援の言葉もありうれしい。活動を分かってもらえてよかった」と手応えを語る。多くの市民の飛行停止の思いを携え、2月中旬に上京し政府に署名を提出する予定だ。子どもたちの未来を守るため、父母たちは今日も声を上げ続ける。

 沖縄県議会は、海兵隊ヘリの相次ぐ不時着を受け、19日の臨時本会議で抗議決議を全会一致で可決した。今回、普天間飛行場を2019年2月末までに運用停止することなど具体的な期限設定を初めて盛り込んだ。

宮古島の保良鉱山弾薬庫

 宮古島への陸上自衛隊配備を巡り、防衛省の福田達夫政務官は17日宮古島を訪れ、下地敏彦市長に陸自弾薬庫の配備場所に城辺(ぐすくべ)保良(ぼら)鉱山を選定したことを正式に伝えた。下地市長は「地域の理解と協力を受けられるよう努力を」と容認する姿勢を見せた。

 しかし、候補地の保良部落会は昨年12月に臨時総会を開いて反対決議を上げている。地元同意のないまま強行する姿勢に、抗議決議をけん引してきた下地博盛さんは「地元は反対なのに、『決めました』と市長に伝えた後で住民の理解を得ようとする。これが防衛省の常識か」と憤る。



 福田政務官は下地市長に建設と引き換えに「周辺環境整備事業」を提案するなどアメ≠ぶら下げた。地元の頭越しに配備を迫る姿勢は米軍基地建設と全く同じ構図だ。

 防衛省は着工の遅れを取り戻したいと焦っている。だが、新たな懸念材料が県の環境影響評価条例(アセスメント)の改正案だ。県は県議会2月定例会に提出を目指す。改正案では20f以上の土地造成にも適用範囲を広げる。弾薬庫が対象になればアセスに少なくとも3年かかり、工事は遅れる。それを見越して今回防衛省は弾薬庫面積を示さなかったが、工事が簡単に進められない可能性もある。(4面に関連記事)

名護市長選、絶対負けない

 辺野古新基地建設阻止のヤマ場、名護市長選挙は2月4日投開票だ。1月8日、現職の稲嶺進氏は新基地阻止を明確に掲げた公約を発表。対する相手候補の前名護市議・渡具知武豊氏は12月28日公明党との政策協定を結んで支持を取り付け、「裁判の推移を見守る」として辺野古問題を避ける手法に出た。政府官邸は、要人投入の総力戦で渡具知氏を応援し、稲嶺市政の3期目阻止狙う。稲嶺氏は「市長権限で工事を阻止し、絶対に諦める状況ではない」との決意を述べた。勝つ方法は絶対にあきらめないこと≠フ思いを選挙でも最後まで貫くことが勝利につながる。 (A)

(追記)1月21日南城市長選はオール沖縄の瑞慶覧(ずけらん)長敏氏が勝利。名護もあとに続く。

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