2018年02月02日 1512号

【給食費未納は支援へのシグナル/すべての子どもの生活基準確保を/憲法タウンミーティング 東京・足立】

 1月14日、東京・足立区で「子どもたちに豊かなあだちを 鳫(がん)咲子先生おはなし会〜憲法生かそう♪タウンミーティング」が開かれた。平和と民主主義をともにつくる会・東京、子ども全国交歓会、首都圏なかまユニオンの3団体が呼びかけた。

 跡見学園女子大学教員で『子どもの貧困と教育機会の不平等』の著書がある鳫さんは、二つの事件を素材に話を進めた。

 一つは、15年6月、埼玉県北本市の中学校が「給食費未納なら弁当を」と保護者に通知した事件。もう一つは、14年9月、千葉県銚子市の母親が県営住宅の家賃を滞納し、明け渡し訴訟の県勝訴で強制退去させられる当日に一人娘を絞殺した事件。給食費や家賃を払えない背後には、子どもや親の障がい・DV、経済問題、社会的孤立の3つの複合的困難がある。未納は支援を求めるシグナルととらえなければならないという。

 就学援助を受けている小中学生は全体の15・6%、152万人(14年度)で、20年前の約2倍。リストラや非正規雇用など就業環境の変化と、DV・離婚による一人親家庭の増加が2大要因だ。政府は生活保護基準を見直し、一人親世帯への援助を減らそうとしている。生活保護が引き下げられると就学援助から除外される人が増え、さらに貧困を拡大する。

 自治体のアウトリーチ(行政機関の側から手を差し伸べ支援すること)の重要性が指摘された。滋賀県野洲(やす)市では、相談をしようにもどこに行けばいいか分からない人のために、ホテルのコンシェルジュ(総合案内係)機能を市民生活相談課に持たせた。税金滞納から出発し、背景にある借金や失業問題にアウトリーチする。また、社会福祉協議会や生活協同組合の貸付制度はほとんど知られておらず、周知が大切だ。

公的支援へ行政動かそう

 政府は14年8月、子どもの貧困対策大綱を閣議決定。貧困25指標を定め、5年間の重点施策を掲げた。しかし、給食費一つとっても韓国では小学校の94%、中学校の76%が無料なのに対し、日本は約2割の市区町村で何らかの助成があるだけ。子どもの生活・就学状況を調査し、最低限必要な生活基準を確保する支援を行うべきだ。データを公開して政策に生かし、所得の低いところに重点的に教員を配置する。親のネグレクトから子どもを守る。NPOが学校を借りて朝食を提供している例もある。最低限のものを底上げするニーズは大きい。

 鳫さんの話の後、質疑。子どもの権利条約や貧困指標のあり方、給食費の私会計から公会計への転換などが話題に上り、一部ではなく子どもたち全体を救う公的予算拡充の必要性が強調された。「奨学金を考える連絡会」の伴幸生さんは「『奨学金負債』をなくす世代を超えた対策を」と提起。ともにつくる会の土屋のりこ足立区議が「粘り強く行政を動かす取り組みを続けよう」とまとめた。



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