2018年02月02日 1512号

【南西諸島を戦場にするな/STOP!自衛隊配備 院内集会&政府交渉/集落近くに弾薬庫/これは生死にかかわる】

 南の島々を戦場にするな。加速する南西諸島の自衛隊配備にストップをかけようと1月18日、参院議員会館で集会と防衛省交渉が行われた。会場は当初予定の会議室から急きょ広い講堂に変更となり、平日昼間にもかかわらず180人が集まった。

 宮古島から「てぃだぬふぁ 島の子の平和な未来をつくる会」の石嶺香織さんと楚南(そなん)有香子さん(てぃだぬふぁは「太陽の子」の意)、奄美大島から「奄美の自衛隊・ミサイル部隊配備を考える会」の佐竹京子さんを迎えた。交渉では、軍事ジャーナリストの小西誠さんや福島みずほ参院議員、赤嶺政賢衆院議員を交え、住民の理解も得ないまま配備を急ぐ防衛省の担当者を2時間以上にわたって厳しく追及した。

隠さず答えろ

 政府は前日の17日、防衛政務官を宮古島市入りさせ、弾薬庫などミサイル部隊関連施設の予定地として島南東部の採石場「保良(ぼら)鉱山」を選定したと伝えている。まずこのことを取り上げ、同鉱山の面積を尋ねた。沖縄県が2月にも県環境影響評価(アセスメント)条例を改正し、これまで対象外だった基地を含め20ヘクタール以上の土地造成についてアセスを適用するとしているからだ。改正案施行前でもアセス手続きを行える旨の附則も設けている。

 防衛省の回答は「20ヘクタール程度」。以上か以下か、登記簿謄本で分かるではないかと聞いても、「20ヘクタール程度」「これから調査するので、明確にお答えするのは困難」。このやり取りだけで20分近く要した。弾薬庫と保良集落との間で「自衛隊の火薬類貯蔵及び取扱施設設計基準」が定める保安距離を順守するのか、の問いには、「関係法令に基づき適切に進める」。弾薬の貯蔵量に関しては「自衛隊部隊の能力が推察される恐れがあるので回答を差し控える」。

 石嶺さん、楚南さんは「いくら法令順守といっても信頼性がない。住民は不安の中で暮らすことになる」「説明する責任があなた方にはある。これは生死にかかわる」と迫った。会場後方の参加者から「隠さずに答えろ」「あなたが宮古島に住みなさい」「国民を守らないのか」と声が飛ぶ。福島議員も再三発言し、防衛省がアセス条例改正に対抗して沖縄県に提出した質問状の内容を開示することなどを強く求めた。

国民は見ている

 佐竹さんは「クロウサギの生態をご存じか。奄美大島に来てちゃんと見てほしい」と要望。小西さんは奄美で行われている陸上自衛隊の生地(せいち)訓練(市街地訓練)「鎮西」に関連して「陸自教範で公有地・民有地の使用に当たっては関係機関との協定や使用許可、所有者との契約が必要と規定しているのに、奄美ではやっていない。違法行為ではないか」とただした。

 防衛省側は「丁寧に説明し、ご理解を得ていく」「運用については手の内を明かすことになるので答えられない」と“壊れたレコード”のように同じ言葉を繰り返す。

 交渉終了後、宮古・奄美の3人がひと言ずつ感想を述べた。「後ろからのやんややんや、うれしかったです。地元の説明会はごまかせるだけごまかそうという感じだが、きょうはほんのちょっとマシだったかな」と楚南さん。石嶺さんは「疲れる議論、怒りまくりだった。宮古島で260億円の税金を使うのに、こんな進め方はあり得ない。みなさんがこうして来てくださったことが防衛省に対し“国民は見ている”という圧力になる」。佐竹さんは「奄美大島は反対する人が少なく、高齢を押して私が来たが、来てよかった。ちゃんと議論しないといけない」と話した。

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