2018年02月09日 1513号

【みる…よむ…サナテレビ(470) 2018年1月27日配信 イラク平和テレビ局in Japan メディアのミスリードを許さない】

 イラクでは、メディアがミスリード(誤った方向に導く)することによって宗教や民族の違いを利用して対立をあおる状況がまかり通っている。2017年11月、サナテレビはメディアの報道についてインタビューを行い、この問題にメスを入れた。

 インタビューでは、まず、ジャーナリスト学が専門のノアー・アズ・アルディーン教授がイラクのメディア状況について問題提起する。2003年の占領以後、形の上では自由なメディアが認められるようになった。「しかし、そこには大きな問題がある」と言う。

 ノアー教授は、特に公的組織ではない非公式メディアの問題に焦点を当てる。メディアに対する資金提供者の力が強く、メディアが伝えるべき事件の現実や背景といった報道が資金提供者の思い通りのものになっているのである。「メディアが本来の道から外れて、メディアではなく宣伝になっている。無責任な発表やニュースがばらまかれている」事態を教授は憂慮する。

 メディア学部ジャーナリスト科主任のフセイン・アル・モサイ教授は、イラクでは「メディアが様々な方法で混乱をかき立て、心配や不安を広げている」と厳しく批判する。理由の一つは、メディアで働く人たちが専門家としての意識を持っていないことだ。もう一つの大きな理由は「多くのメディアが政党や個人、民族主義的活動に従属している」と言う。

 フセイン教授はメディアに対して「公平な仕事をして、目的を持った仕事をして、友愛を見出し、イラク国民各層と社会全体の中に愛と平和を広げてほしい」と助言する。メディアを通じて特定の勢力が「宗派主義や人種差別や他の民族に反対する民族主義の傾向にイラク社会を引き込もうとしている」からだ。

 こうした発言者の「イラク」の部分を「日本」に言い換えてもそのまま通用するのではないかと感じられる。イラクでは、グローバル資本とイスラム政治勢力らがメディアを支配し、人びとの対立をあおってきた。日本でも、安倍政権がマスコミを支配し、排外主義や軍備拡大、憲法改悪推進の道具として利用してきた。

 イラクの市民メディアであるサナテレビと連帯し、ミスリードは許さないという声を日本からも上げていきたい。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)



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