2018年02月16日 1514号

【1514号主張 名護市長選敗北 基地ノーの民意変わらず 諦めない闘いをともに】

争点隠しとデマ宣伝

 2月4日投開票が行われた名護市長選は、「オール沖縄」で辺野古新基地建設に反対する稲嶺進候補が安倍政権の全面支援する渡具知武豊候補に残念ながら敗北。「子どもたちの未来のために基地は作らせない」と訴えた稲嶺市政の継続はならなかった。

 過去2回、新基地反対か推進かにはっきり分かれた市長選での稲嶺勝利に、渡具知陣営は「辺野古の『へ』の字も言わない」と基地問題に全く触れず、「経済振興」一点張りの争点隠しに終始した。前回自主投票の公明党を官邸主導で「海兵隊の県外・国外移転」の政策協定まで結んで陣営に加わらせた。企業ぐるみ動員も合わせ、期日前投票が有権者の44%(投票総数の58%)に上る前代未聞の組織選挙を展開。異常な「誹謗中傷、圧力、選挙介入」(屋比久<やびく>稔稲嶺陣営選挙対策本部長)で票をかすめ取った。

 争点を隠した勝利に、当選者も「複雑な民意が示された。(政府と)一定の距離を置く」(2/5)と言わざるを得ない。市民は安倍政権の新基地建設を支持したのではない。

65%が辺野古反対

 沖縄地元紙2社などの出口調査で、最大争点である「普天間飛行場の辺野古移設」に反対は計64・6%と圧倒的だ。賛成は計25・0%にとどまる。名護市民の新基地建設反対の民意は変わっていない。

 政権側は民意を無視した護岸工事を続け、既成事実と印象付けて執拗に市民の諦め≠誘った。「決まったことをひっくり返すのは難しい」「基地はないにこしたことはないが(生活はぎりぎりで)経済活性化を」「工事が進んでいる現状では、活性化を優先」(2/5各紙)と、市民は本来あってはならない選択を強いられたのである。

 開票後、稲嶺候補は「工事はまだ予定の1%にも満たない。止めることはできる。諦める必要は絶対ない」と闘いの重要性に言及。翁長雄志(おながたけし)知事も「オスプレイが飛び交う中で観光産業などできるわけがない」とし、翌5日「辺野古阻止の民意は変わらない」と改めて強調した。同日朝もシュワブゲート前には市民が座り込み、「今こそ諦めないと声を」「座り込み強化のスタート」と声を上げた。

 新基地容認市長となっても、県民世論と市民の闘いがある限り建設は進まない。

改憲NO!3000万署名と結び

 市長選結果に安倍は「本当によかった。普天間移設方針で進めていきたい」と歓迎。ところが5日夕刻、今度は佐賀県神埼(かんざき)市の住宅に自衛隊戦闘ヘリが墜落・炎上、死傷者を出した。基地・軍隊と住民は決して共存できないのだ。

 辺野古新基地建設と改憲発議を急ぐ策動は、戦争・改憲路線の柱となっている。だが、沖縄県民の新基地反対同様、9条改憲反対の民意も強固だ。諦めることなく地域から民意を実現する闘いを大きく広げれば、改憲発議を阻み、安倍を退陣に追い込み、辺野古新基地を阻止できる。

 改憲NO!3000万署名達成への運動も加速し始めた。地域に足を運び、市民との対話を広げよう。対話に逆行し戦争をあおる安倍政権と国際連帯、沖縄連帯で闘おう。命と権利のためのすべての闘いを合流させ、平和と憲法実現こそ対案だと示そう。主役は私たち市民だ。

       (2月5日)
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