2018年02月16日 1514号

【日韓市民共同声明1000人賛同へ 韓国市民の闘いは(1) 星州(ソンジュ)THAAD反対運動】

 2015年1月、韓国政府は在韓米軍のTHAAD(サード)(高高度防衛)ミサイルシステムの配備を発表した。迎撃高度が40〜150kmのTHAADによって朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)が発射する核ミサイルを撃ち落とすとするが、仮に朝鮮が韓国にミサイルで攻撃するのであれば、使われるのは、大気圏外に打ち上げるICBM(大陸間弾道弾)ではなく、もっと低い高度のミサイルだ。米国防総省も韓国国防部も、THAADでは人口の25%を占めるソウル首都圏を防衛できないことを認めている。

 THAAD配備の本当の狙いは、中国の核戦力・ICBMを封じ込め、東アジアにおける日米韓の核戦力の優位を確保することにある。THAADと不可分のXバンド・レーダーは、米本土をめざすICBMを中国北京付近に至る範囲まで捕捉できる。青森県つがる市・車力通信所と京都府京丹後市・経ヶ岬通信所に配備済みのXバンド・レーダーと連動し、中国北東部からロシア東岸の地域を高精度で監視する。配備には、朝鮮よりも中国とロシアが強く反対している。

 2016年7月、韓国政府はTHAADを慶尚北道(キョンサンナンド)の人口4万6千人の星州(ソンジュ)郡に配備すると発表した。これに対して住民は即座に反対の声を上げた。自分たちの土地が核戦争の最前線にされかねないからである。

 住民は毎日キャンドル集会を開いた。「THAAD配備撤回星州闘争委員会」などが数千人参加の抗議集会を何度も行った。「配備は補償や恩恵の問題ではなく、子々孫々住んできた農民たちの土地が奪われるかどうかの問題だ。THAADレーダーで強力電磁波が出されれば、住民の健康問題は…とても心配になる」と怒りの声を上げた。反対運動は首都ソウルをはじめ全国に広がっていった。

 2017年3月29日、星州のおばあさんたちが関連装備を搬入しようとしたトラックを止め、作業を一時中断させた。しかし、朴槿惠(パククネ)前大統領弾劾・罷免後の大統領選最中の4月26日、韓国政府は4千人以上の警察隊で住民10人以上を負傷させ、中心装備のレーダーと交戦統制所、発射台などを星州ゴルフ場に搬入した。

今も続く現地座り込み

 9月7日、文在寅(ムンジェイン)大統領が直接指示して警察8千人以上を投入し、住民を引きずり出して発射台4基を強行搬入した。11月21日には5千人の警察隊によって韓米将兵の宿舎改修資材搬入をまたもや強行した。文在寅は当初「THAADは国民の意見を集約し、再検討」としていたものを「北朝鮮が…核の挑発を続け、核を高度化していくなら、配備が避けられない」と態度を転換したのである。

 闘いは続く。昨年10月14、15日に星州・ソソン里(リ)で「朝鮮半島の核を根絶するための私たちの平和行動平和しよう=vが開催され、全国から集まった平和活動家が脱核、軍縮、THAAD反対、軍事基地反対、日本の反基地や憲法9条を守る運動との連帯を話し合った。星州の住民の座り込み行動は今も継続している。

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