2018年02月23日 1515号

【1515号主張 対話から始まる平和構築 9条改憲のための緊張あおるな】

緊張緩和へ転換のチャンス

 東アジア情勢に大きな変化が生まれている。平昌(ピョンチャン)五輪の開催に合わせて韓国と朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の対話が確実に前進している。

 2月10日、文在寅(ムンジェイン)大統領は金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の特使・金与正(キムヨジョン)党第1副部長、金永南(キムヨンナム)最高人民会議常任委員長と会談。金与正特使は文大統領に南北関係改善の意思を記した金正恩委員長の親書を手渡し、「早期に文大統領と会う用意がある」「文大統領が金正恩委員長に会い多くの問題で意見を交換すれば、北南関係を早く発展させることができる」と訪朝を要請した。文大統領は「条件を整えて実現させよう」と応じた。

 文政権は、南北対話を朝米対話へと進展させ核問題解決に結び付けたいと考えている。朝鮮も昨年11月以降、ミサイル発射実験を行ってはいない。極限まで高まった軍事緊張は明らかに緩和の方向へと動きつつある。トランプ米大統領さえ「100%韓国と(行動を)ともにする」(2/2電話会談)と南北対話を否定できなくなっている。

対話の破壊狙う安倍

 一方、緊張緩和に敵対し、対話を破壊する姿を鮮明にしたのが安倍首相だ。安倍は2月9日の日韓首脳会談で、五輪期間後について「(米韓合同軍事)演習を延期する段階ではない。予定通り実施することが重要だ」と主張。文大統領は「我々の主権、内政に関連した問題。首相が直接取り上げるのは困る」と不快感を示した。当然のことだ。

 仮に米朝戦争が開始されれば、朝鮮、韓国、日本でどれだけの命が失われるか。危機回避へ努力を続ける文政権に、安倍は軍事緊張を高めよ≠ニ真逆の要求をしたのだ。なぜか。改憲・戦争国家づくりを進める安倍政権にとって、朝鮮半島危機と軍事緊張の継続が必要だからである。

 昨年から米軍や自衛隊のヘリ事故などが相次いでいる。6日には、佐賀県で自衛隊ヘリが民家に墜落し、死傷者を出した。自衛隊機事故は昨年だけで4回、計13人が死亡している。沖縄では普天間基地所属の米軍ヘリやオスプレイの事故が今も続発している。

 度重なる事故には理由がある。日米韓による戦争を想定した激しい軍事演習が急速に増え続けているからだ。市民から隠されてきた戦争国家と軍事強化の実態が、頻発する事故として姿をあらわにしてきた。戦争・改憲路線へと突き進む安倍政権には、アジアや日本の市民の命と安全を守る一片の想像力すらない。

署名で改憲ノーの世論を

 憲法9条に自衛隊を明記しても「何も変わらない」と安倍は言う。大嘘だ。自衛隊は戦争法の成立で集団的自衛権を行使し、海外で武力行使が可能な存在となっている。9条改憲は、「守る」自衛隊から、制約なく武力を行使し他国を「攻める」軍隊へと変わることを意味する。戦争する国への180度転換である。

 憲法9条は、国際紛争を解決する手段として戦争と武力による威嚇(いかく)、行使を永久に放棄した。それは今、最も求められる対話による危機解決を通じた東アジアの平和・非核化への道筋をさし示す。

 安倍9条改憲NO!3000万人署名で粘り強く市民との対話を進め、改憲発議を許さない世論を大きくつくりだそう。

       (2月11日)
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